
戸建て住宅やマンションに限らず、浴室は湿気が多いのでカビの温床になりやすいです。
カビが発生している浴室は、気持ちの良いものではありません。ホテルや銭湯、温泉も同様です。カビが目立つような施設は、あまり利用したくありません。
浴室は、常に換気しておくことでカビを防ぐことができますが、油断するとカビが発生します。
ドラッグストアで市販されている、燻製タイプの防カビコーティングをしても、半年後にはカビが発生します。また、防カビコーティングをしていても、掃除を怠ると、カビが発生してしまいます。
そのように、浴室はカビ対策を怠ることができませんので、掃除をしっかり行いつつも、できれば何かの方法で防カビをしたいものです。そこでおすすめしたいのが、光触媒による防カビコーティングです。
この記事では、光触媒による浴室の防カビコーティングについて解説いたします。
光触媒とは?
光触媒というものが、どのようにして防カビができるのか、メカニズムからご説明します。
光触媒とは、光が当たることで触媒効果を発揮する成分のことです。要するに、光触媒に光が当たっている状態で、そこにカビ菌が触れると、カビ菌を酸化分解してくれる成分です。
もし本当にカビ菌が酸化分解できるのだとしたら、それを浴室の壁面に塗っておけば、カビの発生を抑えてくれるわけです。しかし、それが身体に悪いものであれば、浴室では利用できません。
光触媒としてよく利用されている成分は、酸化チタンです。
酸化チタンとは、金属のチタンが酸化した成分です。「二酸化チタン」ともいわれます。酸化チタンは、白色顔料としても利用されており、化粧品にも用いられています。日焼け止めクリームには、酸化チタンが用いられていることが多いです。
このように、身体に直接利用される安全な成分で、防カビができる可能性があります。
光触媒が防カビ効果を発揮するための条件
光触媒は、「とにかく光が当たりさえすれば防カビができるのか?」と言えば、そうではありません。光触媒が防カビ効果を発揮するかどうかは、次の条件が合わさったときです。
- 光触媒が活性化する種類の光が当たったとき
- 防カビができるほどの明るい光が当たったとき
光には大きく分けると次の3種類あります。
- 紫外線
- 可視光
- 赤外線

可視光とは、目に見える光のことです。可視光を中心として、それよりも波長が短くエネルギーの高い光を紫外線、反対に波長が長くエネルギーの低い光を赤外線といいます。紫外線や赤外線は、人の目に見ることができない光です。
ブラックライトが良い例です。ブラックライトを点灯させても、薄暗い紫色のような光に見えますが、紫外線が多く出ているので目に見えないので暗く見えるのです。
光触媒の種類によって、どのような光の種類で防カビ効果を発揮するのか、そして防カビができるほどの強い光が当たること。これらの条件が重なることで防カビができます。
酸化チタンは浴室内では防カビ効果無し
「酸化チタンは浴室内では防カビ効果無し」は事実です。その理由は、酸化チタンは紫外線が当たることによって防カビ効果を発揮する成分だからです。
さて、酸化チタンは紫外線が当たると防カビ効果を発揮します。そして、浴室には紫外線がほとんど存在しないことをお考えいただきたいと思います。つまり、酸化チタンを浴室に塗布しても、ほとんど防カビができないということを意味します。
次の図は、一般的な白色LEDから出てくる光のスペクトル図に、酸化チタンが活性化する光の種類を表したものです。

白色LEDから出る光には、酸化チタンが活性化する紫外線が含まれていませんので、白色LEDを使用している浴室内では、酸化チタンを使った防カビコーティングをしても効果がありません。
露天風呂などの直射日光が当たる場所や、窓際の直射日光が射しこんで明るくなっている箇所でしたら、酸化チタンで防カビができます。しかし、浴室内や露天風呂でも屋根の部分、夜間には防カビができないのです。
もし、防カビコーティング施工業者から「酸化チタンで防カビができる」とPRを受けた場合には、本当に防カビができるのか疑っていただきたいと思います。
可視光応答型光触媒でも防カビ効果は?
浴室内に照らされる光は、蛍光灯やLED照明、白熱電球といった照明からの光のみです。浴室を防カビしたい場合は、そういった可視光のみで防カビができる光触媒を選ぶことが大切です。
可視光応答型光触媒の意味と種類
光触媒の種類は、酸化チタンだけでなく本当にたくさんあります。そういった中で、可視光に反応して防カビができる光触媒もあります。そういった光触媒のことを、可視光応答型光触媒といいます。「可視光に応答して触媒効果を発揮する光触媒」という意味です。
今現在のところ、可視光応答型光触媒で防カビコーティング剤として実用化されている光触媒の種類は次の通りです。
- 銅担持酸化チタン
- 窒素担持酸化チタン
- 鉄担持酸化チタン
- 酸化タングステン
担持とは?
銅と窒素、鉄には酸化チタンに「担持」という言葉が付いています。「担持」とは、「結合させた」という意味です。酸化チタンを基材として、補触媒である銅や窒素、鉄が担持されています。それらの成分を担持させることによって、紫外線にしか反応しなかった酸化チタンが、可視光でも反応するようになります。
担持は、別名「ドープ」とも言われ、銅担持酸化チタンは「銅ドープ酸化チタン」、窒素担持酸化チタンは「窒素ドープ酸化チタン」とも言われます。
酸化タングステンは、タングステンという金属が酸化した物質で、それ自体で何も担持させなくても可視光応答型光触媒です。
銅担持酸化チタンが反応する光の種類
次の図は、先ほどの白色LEDのスペクトル図に、銅担持酸化チタンに防カビ効果が現れる光の波長領域を加えたものです。

銅ドープ酸化チタンは、紫色や青色、水色(シアン)の光によって防カビ効果を発揮する成分ですから、浴室内でも防カビ効果を発揮します。
浴室を防カビしたい場合には、これらの中で「どれを使用しても良い」というわけではありません。なぜなら、光触媒の種類によって防カビ効果の高さが異なるからです。
銅担持酸化チタン光触媒がもっとも効果的
これらの中でもっとも防カビ効果の高い可視光応答型光触媒は、銅担持酸化チタンです。
銅担持酸化チタンなら弱い光でも防カビが可能
銅担持酸化チタンは、可視光で反応することはもちろんのこと、他の可視光応答型光触媒と比較して浴室内の弱い光でも高い防カビ効果を発揮する成分です。
例えば、酸化タングステンと比較をしましょう。酸化タングステンは、1,000lxという強い光を照射することでやっと防カビができるくらいの効果を発揮します。1,000lxと言えば、手術室と同じくらいの明るさです。酸化チタンを使った防カビコーティングを行ったときは、浴室内を手術室くらいの明るさにしたら、防カビができます。しかし、そのような明るさは現実的ではありません。
それに対して銅担持酸化チタンは、200lxという薄暗い光でも防カビができます。浴室内は薄暗い光しかありませんから、光触媒を使った防カビコーティングは、銅担持酸化チタンでないと防カビができないことを意味します。
暗所でも防カビができる
銅担持酸化チタンには、さらに驚くべき効果があります。それは、光を消灯しても防カビ効果があります。
もちろん光が当たっているときの方が防カビ効果は高いのですが、消灯をしても防カビ効果があるので、光の当たらない暗い場所でも防カビ効果を発揮してくれます。その理由は長らく解明されていませんでしたが、どうやら酸化チタンに担持されたナノサイズの酸化銅が、光が当たっていなくても防カビ効果を発揮しているようなのです。
浴室では、消灯されている時間が長いので、暗所でも防カビ効果がある銅担持酸化チタンを利用することが必須とも言えます。
可視光応答型光触媒の防カビ効果まとめ
可視光応答型光触媒の防カビ効果をまとめると、次の表のようになります。
可視光応答型光触媒 | 防カビ効果 | |
---|---|---|
可視光下 | 暗所 | |
銅担持酸化チタン | 高い | やや高い |
窒素担持酸化チタン | 低い | なし |
鉄担持酸化チタン | 低い | なし |
酸化タングステン | 低い | なし |
銅担持酸化チタンをどのようにコーティングするのか?

銅担持酸化チタンを浴室内にコーティング塗装する方法は、銅担持酸化チタンを使ったコーティング剤を利用します。
弊社の製品であれば、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)です。弊社は、世界で初めて銅担持酸化チタンを使ったコーティング剤を開発しましたが、この製品はそれから20年以上の期間をかけて、効果や耐久性を高めていったものです。
コーティング塗装の機材
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)は、水のような粘性の液剤です。これを専用のスプレーガンに入れて、スプレー塗装します。専用の装置には、ABAC社製の温風低圧塗装機をおすすめしています。ABACは、「アバック」と呼びます。

コーティング塗装前の清掃
塗装する箇所は、入念に清掃し、乾燥させておいてください。浴室エアコンの内部にも塗装したい場合は、高圧洗浄をなさってください。
濡れている箇所や湿っている箇所には、光触媒による防カビコーティング塗装はできませんので、塗装箇所を清掃した後は十分に乾燥させてください。
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)の耐久性は?
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)の耐久性は10年以上あります。銭湯などで浴室を磨いたり、人が歩くような場所に使用した場合には、5年ほどの耐久性になりますが、壁や天井などの普段人が触れない場所であれば、20年ほど効果が持続する場合もあります。
防カビコーティング剤にはいろいろな種類があり、防カビ剤を使ったものは、成分が溶けだしていくので10年以上効果のある防カビコーティングはなかなか存在しません。それに対して光触媒は、塗装面に光触媒成分が付着し続けている限り半永久的に効果があるため、費用対効果の高い防カビコーティングとしてよく採用されます。
すでにカビが発生している場所でも効果があるのか?
すでにカビが発生している場所に塗装する場合は、カビを十分に落としてから塗装してください。カビの上から塗装しても、カビを完全に分解するほどの効果はありません。また、カビの表面に防カビコーティングしても、カビが分解されていって落ちていくときに、いっしょに防カビコーティングも落ちてしまい、効果が弱くなります。
カビは発生すると根っ子を張ると言われています。表面を十分に清掃したとしても、カビの根っ子が残っていて、そこからまたカビが生えてくる場合があります。その場合でも、防カビコーティングをしておけば、カビが落としやすい状態ですので、掃除の手間を軽減できます。
浴室の石材や樹脂に光触媒コーティングができるのか?
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)は、浴室内の次のような材質に塗装できます。
- 樹脂
- タイル
- ステンレス
- 石材
- 木材
- プラスチック
また脱衣所の壁紙クロスや天井パネル、床、シャワーカーテンや手すりにも塗装ができます。
反対に塗装ができない箇所は、次の箇所になります。
- ガラス
- 鏡
- 照明器具
- 鏡面加工された大理石や御影石
これらの材質は光を反射するものですから、銅担持酸化チタンを塗装すると、その光の屈折によって虹色に見える場合があります。施工時には、それらのものを養生して、液剤がかからないようにします。
浴室の防カビコーティング施工なら
イリスにご相談ください
以上、浴室の防カビコーティングに光触媒を用いる場合、銅担持酸化チタンを利用することをご紹介させていただきました。
銅担持酸化チタンは、浴室だけでなく室内や地下室、押し入れの中といった場所でも、防カビができます。また、外壁でもジメジメした北側の直射日光が当たらない場所の防カビにもご利用いただけます。銅担持酸化チタンはとても万能な光触媒です。
浴室を銅担持酸化チタンで防カビコーティングしたいとお考えの方は、弊社までお気軽にご相談ください。
この記事の著者/責任者

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。