自動車の車内は、人が頻繁に利用するので、汗などが染みついて臭いが出やすいものです。自動車は締め切った空間であることが多いので、臭いがこもりやすいものでもあります。
汗の臭いの原因は雑菌の繁殖です。また、タバコを吸っている人がいたら、その臭いがしみ込みますし、新車であれば、新車特有の化学物質の臭いがあります。
車内は臭いが出てきても、衣類のように洗浄するわけにはいきません。そこで、何らかの方法で消臭を考えます。
最初に考えられるのが芳香剤です。芳香剤は臭いを香りでごまかすものですので、消臭はできません。
次に消臭剤ですが、次亜塩素酸やオゾンなどの消臭剤は塗布したときは臭いが消えるのですが、しばらくしたらまた臭いが出てきてしまいます。そのため、毎回頻繁に使用しなければならず、根本的な解決にはなりません。
そこでおすすめの方法が、光触媒コーティングです。光触媒コーティングであれば、効果や耐久性があるものを使用すると、メンテナンスをすることなく、何年も消臭や除菌の効果が持続します。
ここで、光触媒について、あまり知られていない事実をご紹介します。
それは、光触媒コーティングであれば何でも良いわけではなく、効果のある製品と効果の低い製品があります。酷い場合は、まったく効果のないものもあります。
このコラムでは、車内を光触媒コーティングして、消臭や除菌をするときに効果のある光触媒の選び方をご解説いたします。
車内の光触媒コーティングとは?
光触媒コーティングとは、酸化チタンなどの光触媒効果のある金属を、コーティング剤として塗装するものです。自動車の車内を光触媒コーティングすることで、除菌したり臭いを消臭することができます。
光触媒コーティングの意味を詳しく知りたい方は、「光触媒コーティングとは?」をご参照ください。
光触媒コーティング剤の形状は液体です。塗装は、専用のスプレーガンで行います。弊社では、ABAC温風低圧塗装機を推奨しています。
光触媒コーティングの効果の高い製品を利用する場合は、薄く塗布するだけでも十分に効果があるので、塗布のし過ぎにご注意ください。
新車の場合は、車内のビニールシートをはがしてから塗装していきます。使用されている自動車は、車内が汚れているときは、清掃をしてから塗装します。それぞれ、フロアマットは外して塗装するようにします。
光触媒コーティング剤はすぐ乾くので、乾いたら完了です。すぐに光触媒の効果が出ます。
車内を塗装するときに、絶対に守っていただきたい注意点が1つあります。それは、「窓ガラスや光沢面には塗装しないように、養生(マスキング)をすること」です。窓ガラスや光沢面に、光触媒コーティング剤を塗装すると、塗装の腕前にもよりますが、その部分が虹色のまだら模様になり、見栄えが悪くなったり、運転に支障をきたしたりするからです。
光沢面とは、木目の内装などでニスが塗られている箇所のことです。
車内の光触媒コーティングで得られる効果
車内に光触媒コーティングをすると、次のような効果が得られます。
- 除菌
- 消臭(汗や皮脂の臭い、新車の臭い、タバコの臭いなど)
これらの効果の高さは、光触媒成分の種類や塗布量、光の当たり方などによります。自動車は直射日光が当たる場所にあることが多いので、光触媒で強力に除菌・消臭ができます。
しかし、その効果は光触媒成分に大きく左右します。施工依頼をする業者が、「どのような光触媒コーティング塗料を用いているのか?」ということを知ってから依頼をしてください。
塗料によっては、除菌や消臭がまったくできない場合もあるのです。
施工業者選びのポイント
自動車の車内を光触媒コーティング塗装してくれる業者を選ぶとき、次のことが気になることでしょう。
- 光触媒の効果の高さ
- 効果の持続期間の長さ
- 施工の仕上がりの美しさ
- 仕上がりまでの期間
光触媒の効果があったとしても、持続期間が短かったり、仕上がり具合が悪かったりしたら、光触媒コーティングをする意味がありません。4番目は、すぐに仕上げてくれるところが良いのですが、1~3が満たされていなければ、早く仕上げてくれても意味がありません。
効果の高い光触媒コーティングをしてくれる業者を選ぶポイント
1~3の条件を満たした、効果の高い光触媒コーティングをしてくれる業者を選ぶためには、次のことを確認すると良いでしょう。
- 可視光応答型光触媒コーティング剤を使用しているか?
- 光触媒コーティング専用スプレー装置で塗装しているか?
- 窓ガラスや光沢面に養生をしてくれるか?
- 光触媒コーティング剤より先にプライマーを塗装するのか?
可視光応答型光触媒コーティング剤については、後ほどご説明します。
美しく仕上げるための「光触媒コーティング専用スプレー装置」
光触媒コーティングを美しく仕上げるためには、光触媒コーティング専用スプレー装置を用いることが大事です。弊社では、ABAC温風低圧塗装機と専用ノズルの利用を推奨しています。専用の塗装機とノズルを使用していると仕上がりが美しくなるのです。
光触媒コーティング専用のスプレーガンのノズルは、ペンキ用のスプレーガンのノズルとと比べて、口径が小さいです。
口径の大きなノズルで光触媒コーティング剤をスプレーをすると、噴霧する霧の粒子が大きくなり、大粒の霧が付着するので、見た目の仕上がりが悪くなる場合があります。
光触媒コーティング専用のスプレーガンで塗装しているのかどうかは、素人が装置を見ただけではわかりません。そこで、光触媒コーティング剤を噴霧している霧を確認してください。実は、霧が目で見えるようでは、噴霧し過ぎているので、光触媒コーティング用ではなく、ペンキ塗装用かもしれません。
自動車修理工場では、ペンキの塗装をしているところもありますが、それと同じ装置を使って光触媒コーティング塗装をすると、光触媒コーティング剤を塗り過ぎてしまい、仕上がりが悪くなる場合があるのです。
光触媒の効果と耐久性の高さを意味する「窓ガラスや光沢面の養生」
社内の光触媒コーティングをするときに、窓ガラスや光沢面を養生する業者は効果が高く耐久性のある光触媒を丁寧に施工していると言えます。
光触媒コーティング剤がガラス面や光沢面に付着すると、ガラス面に反射する光が虹色になります。それがフロントガラスであれば運転に支障をきたしますし、サイドガラスですと景観が悪くなります。
効果の弱い光触媒コーティング剤であれば、窓ガラスに多少付着しても、光の反射で虹色が出にくいです。なぜなら、光触媒成分の配合量が少ないからです。光触媒成分の配合量が多いと光触媒の効果が高いのですが、窓ガラスに付着してしまうと、虹色に見える場合があるのです。
また、耐久性の高い光触媒が窓ガラスに付着すると、それを落とすことができなくなります。弊社の光触媒コーティング剤は、塗装すると表面に光触媒の粒子が固定化するので、窓ガラスを拭いたぐらいでは落ちなくなります。そのため、窓ガラスの養生が必要です。
光触媒の効果の高さを証明する「プライマーの利用」
4番目のプライマーとは、下地を光触媒コーティング剤から守る保護材です。プライマーが、光触媒による座席シートなどの劣化を防いでくれます。
効果の高い光触媒コーティング剤を利用すると、光触媒で社内の内装を劣化させてしまう恐れがあります。それを防ぐために、光触媒コーティング剤を塗装する前に、下地剤であるプライマーを下塗りして内装を保護するのです。
つまり、プライマーを塗装する業者は効果の高い光触媒コーティング剤を用いていると言えます。
逆に、光触媒コーティングのときにプライマーを利用しない業者であれば、使用している光触媒コーティング剤は、効果が弱いものである可能性が高いです。
光触媒の効果の高さや効果の持続期間の長さ、施工の仕上がり具合で業者を選ぶときは、可視光応答型光触媒コーティング剤を用いて、専用のスプレーガンで塗装し、窓ガラスや光沢面には養生をしてくれるところで、なおかつプライマーを利用しているのかをご確認ください。
光触媒コーティング剤には可視光応答型光触媒を選ぶこと
車内に塗装する光触媒コーティング剤を選ぶときは、「可視光応答型光触媒」を選ぶことが大切です。この光触媒を選ばないと、社内では光触媒の効果が出なくて、クレームになりやすいです。
可視光応答型光触媒とは?
可視光応答型光触媒とは、可視光線が当たると効果の出る光触媒のことです。
光触媒でよく用いられている基本材料は、酸化チタンです。酸化チタンが活性する光の種類は、紫外線から紫色の光なので、その光が当たることで、除菌や消臭をしてくれます。つまり、酸化チタンは紫外線や紫色の光が当たらないと、除菌や消臭の効果が発揮されません。
可視光応答型光触媒は、人の目で見える青色の光でも反応して、光触媒の効果が出ます。
なぜ可視光応答型光触媒でないと効果がないのか?
自動車は、いつも外を走っていますし、インナーガレージでなければいつも外に置いてあるため、昼間の晴れた日は、いつも太陽の光が当たり、紫外線(UV)も降り注いでいるはずです。それなのに、車内の除菌や消臭をするために、なぜ可視光応答型光触媒が必要なのでしょうか?
それは、自動車の窓ガラスに原因があります。
自動車の窓ガラスには、UVカットガラスが使用されているので、太陽の光が強くても、UVがカットされて、車内に塗装した光触媒コーティングは効果が出にくくなるのです。
UVカットガラスは、少しはUVを通しますが、光触媒の効果が落ちてしまうことは確実です。しかも、昼間は除菌や消臭をしてくれても、夕方や夜の時間帯は除菌や消臭の効果がなくなってしまうのです。
可視光応答型光触媒を車内に塗布しておけば、紫外線や紫色の光でなくても、光触媒の効果が出るので、夕方や夜でも除菌や消臭の効果が期待できます。
可視光でも強い効果のある銅ドープ酸化チタン
可視光応答型光触媒は、いろいろな種類のものがありますが、酸化チタンほど効果がありません。
そこで弊社は、「酸化チタンが可視光で反応するようにできないか?」と、どの光触媒メーカーでも発想しなかったり、開発を諦めた、夢の技術を研究しました。そして、偶然にも銅を添加することで酸化チタンが可視光活性し、しかも室内の光でも高い触媒効果を発揮することを、世界で初めて発見し製造方法の特許を取得したのです。
この発見は、光触媒業界で注目を浴び、大学や研究所などで追試が行われ、可視光下における効果の高さやメカニズムが実証されました。弊社が開発した可視光応答型光触媒は「銅ドープ酸化チタン」を呼ばれるようになりました。
車内に効果のある可視光応答型光触媒ならイリス
弊社が開発した可視光応答型光触媒「銅ドープ酸化チタン」を使った効果の高い光触媒製品を解説いたします。
車用光触媒コーティング剤
銅ドープ酸化チタンを用いた「車用光触媒コーティング剤(BXR02-C)」は、自動車用として最適な光触媒成分(銅ドープ酸化チタン)を採用し、効果の高さと耐久性を両立させる光触媒成分と接着剤の分量を調合しています。
この製品は、次のような効果があります。
- シートやハンドルの除菌
- 汗や皮脂の臭い
- タバコの臭い
- 新車の臭い
この製品は、大手自動車メーカーの高級車に純正品として採用されています。
銅ドープ酸化チタンを発明したすぐ後に、商社経由で大手自動車メーカーの研究所からサンプルの提供を依頼され、液剤を提供しました。その当時、大手自動車メーカーでは海外用に売られていた高級車を日本で販売することになり、「すべて最高のものを利用する」というコンセプトがあったようです。光触媒コーティングも同様に最高の性能を持つものを利用する予定でした。
その後、大手自動車メーカーから「イリス製品がもっとも効果が高かった。光触媒の効果の高さはそのままに、黒色のフェザーシートに塗装しても白色にならないような製品を開発してもらいたい」とのご依頼をいただきました。
光触媒の効果を高めようとしたら、酸化チタンの分量を多くしなければいけません。酸化チタンが多くなりすぎると、黒色のフェザーシートに塗装したときに、酸化チタンの白色が出てしまいます。成分調整をして除菌・消臭効果が高く、黒色のフェザーシートに塗装しても白色が出ない光触媒コーティング剤の開発に取り組み、車用光触媒コーティング剤(BXR02-C)を開発しました。
その後、20年経過した現在でも、弊社製品を採用し続けていただいています。
自動車に塗装されたたお客様から、「夜でも消臭効果があった」とご好評をいただいております。銅を添加しているので、その成分によって夜でも除菌効果があったのだと考えます。
車用プライマー(下地剤)
先ほど、効果の高い光触媒コーティング剤を塗装する前にプライマーを塗装することをご説明いたしました。
「車用光触媒コーティング剤(BXR02-C)」を塗装するときは、光触媒が自動車の内装を劣化させないように、先に保護材である車用プライマー(ASR02-C)を塗装します。
プライマーを塗装することで、高い光触媒の効果を出しつつも、内装を光触媒による劣化から守って美しいままに保つことができます。車用光触媒コーティング剤(BXR02-C)の持続期間は、正しく施工されたら10年以上です。
光触媒コーティングを導入している自動車整備工場によっては、プライマーを使用しないところも見受けられます。そのような場合には、「その光触媒はあまり効果がない」とお考えいただいた方が良いです。なぜなら、プライマーが必要ないくらいの弱い効果しかないことが予想されるからです。
普段使いができる光触媒のご家庭用除菌・消臭スプレー
さて、「業者に依頼するのではなく、もう少し手軽に光触媒を利用したい」という方もいらっしゃると思います。
そういった方には、ご家庭向けに市販している屋内用光触媒スプレー「アキュートクリーン」をご利用ください。
どなた様でもお気軽に、可視光応答型光触媒をご利用いただける製品です。
この製品は、ご家庭用の普段使いで開発したものですので、コーティング剤ではありませんが、可視光応答型光触媒を用いています。ご家庭用ですので、車用光触媒コーティング剤と比べて、光触媒の成分量を抑えてあります。
ご利用前によく振ってから、除菌したい場所や臭いが気になる場所に直接スプレーしてください。
車用光触媒剤(BXR02-C)で除菌・消臭ができる箇所
車用光触媒コーティング剤(BXR02-C)は、自動車の車内用に調合された光触媒コーティング剤です。自動車の車内のあらゆる箇所にて、除菌・消臭の効果が発揮されます。
- 座席シート(フェザーシートにも可)
- ハンドル
- ダッシュボード
- シフトノブ
- スイッチ類やパネル
- カーナビの液晶画面
- シートベルト
- エアコンフィルター
- フロアマット
- 天井
- インテリアパネル
車用光触媒コーティング剤(BXR02-C)は、自動車のボディや窓ガラスへの塗装を禁止しております。
以上、車内の光触媒コーティングで効果がある可視光応答型光触媒について述べてきました。
大手自動車メーカーの高級車でも純正品として採用された、除菌や消臭で効果のある光触媒コーティングをお求めの方は、弊社までご連絡ください。お近くの施工代理店をご紹介させていただきます。
また、自動車整備会社様で、車用光触媒コーティング剤(BXR02-C)を使った事業を始めたい場合も、お気軽にご相談ください。弊社では、施工代理店を募集しております。
施工代理店になられたい企業様向けに、施工講習会も開催しております。ぜひご利用ください。
この記事の著者/責任者
株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。