この記事は、ガラス親水コーティングをお探しの方に、光触媒ガラス親水コーティングのメリットをお伝えしたいと思います。
光触媒は効果が高いと言われますが、製品や施工方法によっては効果が低かったり、場合によってはメリットが得られないこともあります。
ガラスコーティングの目的や種類、効果のあるガラス親水コーティングを選ぶ方法、正しい施工方法などを解説いたします。
ガラスコーティングの目的
最初にガラスコーティングの目的を解説いたします。
ガラスコーティングの目的は、ガラス面の親水性を高めること、もしくは水を強力に弾くようにすることのどちらかです。前者を親水コーティング、後者を撥水コーティング(疎水コーティング)といいます。
水との親水性を高める「親水コーティング」
ガラス面に雨水が当たると水を弾きます。すると、弾いた水の水滴が付着しますし、水に含まれるシリカが固まってウロコができ、ガラス越しの見栄えが悪くなります。それを防ぐために、ガラスコーティングをして親水性を高め、ウロコの付着を防ぐわけです。
そして、親水性が高いと、雨水の流れによってガラス面に付着した汚れも落ちていきます。
ガラスを、ガラスコーティングをして親水性を高めることによって、ウロコや汚れの付着を防いでくれます。
「定期的に清掃しているので、ガラスコーティングは必要ない」と考える方もいらっしゃることでしょう。確かに定期的に清掃できたら、それでも良いと思います。しかし、場所によっては清掃がしにくい、もしくは出来ない場所もあります。高層ビルの窓ガラスはそうです。
高層ビルは、ゴンドラを使って窓ガラスを清掃するとなると、高層ビルの下側に清掃した水が滴り落ちるわけですから、下を通行している人に水が掛かってしまいます。しかも高層ビルの上層から落ちた水は、どこまで飛んでいくか分かったものではありません。
高層ビルの窓ガラスは、入念にガラスコーティングされているので、雨の日に汚れが落ちていくようにしてあります。
さらには、親水性が高いと、雨水がガラス面に馴染んでいき水滴が付きませから、視界が良好になります。水の幕によって若干視界が歪んで見えるものの、水滴が付着しているよりは外の景色が見えやすいです。
水を強力に弾く「撥水コーティング」
水を強力に弾くようにする場面は、自動車のフロントガラスです。自動車の運転では、前方の視界が大事ですから、水が弾くコーティング剤を塗布します。
自動車のフロントガラスに親水コーティングをしない理由は、視界が悪くなるからです。親水性を高めると、水の幕ができて、視界が若干屈折したように見えてしまいます。ですので、自動車のフロントガラスには親水性の高いガラスコーティングは不向きです。
強力な撥水コーティングをしていると、走行中の風で水滴が飛んでいきやすくなり、視界がさらに良くにあります。
ただし、サイドミラーやリアガラスは、撥水コーティングをしても水滴が付着し、視界が妨げられる場合があります。そういった場所は、フロントと比べてまじまじと見ることはありませんから、撥水コーティングよりも親水コーティングの方が良いと感じる人が多いです。
ガラス親水コーティングが活躍する場面とメリット
ガラス親水コーティングが活躍する場面は、さまざまです。弊社は、光触媒のガラス親水コーティング剤を製造販売していますが、その製品がよく利用される場面は、
- 掃除がしにくい場所の窓ガラス(特に高層ビルの窓ガラス)
- 太陽光パネル
窓ガラスの親水コーティング
窓ガラスへの利用は、清掃がしにくい場所の窓ガラスです。窓ガラスのところにバルコニーやベランダがあれば、窓ガラスを掃除しやすいです。しかし、写真のように外壁面の何もないところにある窓ガラスは、清掃が容易にできません。
このような場所は、ゴンドラかロープを使っての高所作業になりますから、資格を持った人に依頼することになり、清掃費用が割高になります。親水コーティングをしておくと、その窓ガラスの清掃費用を削減することができます。
また、窓ガラスに雨が当たっても水滴が付かないので、視界が良好になり、部屋で生活や仕事をしている人が不快になりにくいです。
太陽光パネルの親水コーティング
太陽光パネルにも、親水コーティングは有効です。
太陽光パネルは、窓ガラス以上に雨水が当たります。ですので、雨水の中に含まれる油分やシリカ、埃などの汚れが付着し、こびり付いていきます。すると、それらの汚れによって光が妨げられて、発電量が低下します。
そのようなことで、太陽光パネルは、定期的な清掃を要します。
太陽光パネルは低い位置に設置されていたら清掃は容易です。しかし、屋根の上に設置された太陽光パネルの清掃は足場設置などの工夫が必要ですし、人里離れた場所に設置されている場合は清掃用の水源がない場合もあります。そういった場所では、清掃のための費用が高くなりがちです。
太陽光パネルに親水コーティングをしておけば、雨水によって汚れが流れ落ちるので、汚れをある程度防ぐことができ、清掃の手間を削減できます。
ガラス親水コーティング剤の種類
ガラス親水コーティング剤の種類には、主に次の3種類ございます。
- シリカ系
- 有機化合物系
- 光触媒系
シリカは、ガラス面に付着しやすい物質で、親水性があります。そのシリカを親水コーティング剤にしたものが利用されています。有機化合物系は、親水性の高い有機化合物をガラス表面に結合させます。光触媒系のものは、光触媒の効果によって親水性を高めるものです。
シリカ系や有機物系のものはその成分自体が親水性の効果を持っていますが、光触媒は光が当たることで親水性が発揮されます。
光触媒によるガラス親水コーティングのメリット
シリカ系や有機化合物系と比べて、光触媒によるガラス親水コーティングのメリットは、次のようなことです。
- ガラス面に付着した汚れを分解してくれる
- 油分をも分解してくれるので防汚効果が高い
シリカ系や有機化合物系は単に親水性を高めるだけの効果ですが、光触媒は光が当たるとOHラジカルという強力な活性酸素を発生させ、汚れを酸化分解してくれます。分解された汚れは、親水性の効果によって雨水といっしょに流れ落ちやすくなります。
シリカ系や有機化合物系は、親水性は高いものの、油分が付着したらそれを分解して落とす性質はありませんから、空気中の油汚れがガラスに付着していって、汚れやすくなる可能性が高いので、光触媒よりも防汚効果は劣ります。また、シリカを引き寄せる性質を持つものもあると思います。そのようなコーティング剤では、シリカ汚れが付着して親水性が衰えやすい可能性もあります。
そのようなことから、光触媒コーティングが親水コーティングとして効果が長く持続するものと考えます。
親水性が高い光触媒成分とは?
ガラスの防汚に利用する光触媒は、何でも良いわけではありません。
一般的に利用される光触媒の種類は、アナターゼ酸化チタンです。アナターゼ酸化チタンは紫外線が当たると高い親水性を持つことが知られています。
ここでお考えいただきたいことは、ガラス面の防汚を期待するときは、雨が降ったときです。雨が降ったときに親水性が発揮されて、汚れが落ちていくことを期待します。しかし、雨の日は紫外線がほとんどありませんから、アナターゼ酸化チタンでは親水性の効果が弱いのです。
酸化チタンの弱点を克服し、ガラス面の親水性を高める光触媒の種類は、「タングステン・ドープ酸化チタン」と言われるものです。
ドープとは、「添加した」とか「加えた」という意味ですが、光触媒の業界では「担持させた」という意味になります。担持とは、簡単に言えば結合させることです。酸化チタンにタングステンを結合させた特殊な光触媒は、ガラス面に塗布したら高い親水性を発揮します。
しかもその成分は光触媒ですから、ガラス面に付着した油汚れや有機物の汚れを分解してくれます。分解された汚れは、親水性の効果で落ちていきやすくなります。
ガラス用光触媒コーティング剤の選び方
光触媒コーティングだと、油分を分解してくれるので、シリカ系よりも防汚効果が高いことがわかりました。また、タングステン・ドープ酸化チタンは親水性が高いことがわかりました。
さて、ガラス用光触媒コーティング剤は、いくつかの光触媒メーカーから発売されていますが、「どのメーカーのガラス用光触媒コーティング剤を選べばいいのか?」「どのメーカーも同じ製品なのか?」ということになります。
結論から述べますと、メーカーによって製品の質が異なります。
質の高いガラス用光触媒コーティング剤を選ぶときに確認すべき点は、次のようなことです。
- タングステン・ドープ酸化チタンを使用していること
- タングステン・ドープ酸化チタンが沈殿していないこと
- 液剤がゲル化していなくて、粘性が低いこと
- 液剤の保存期間が1年ほどあること
光触媒を使ったガラス親水コーティング剤を選ぶときは、タングステン・ドープ酸化チタンを使用していることはもちろんのことです。沈殿、粘性、保存期間について解説いたします。
タングステン・ドープ酸化チタンが沈殿と保存期間
光触媒の親水コーティング剤は、液剤です。液体の中に、タングステン・ドープ酸化チタンなどの金属が微粒子として混ざり込んでいます。光触媒成分は、イオンのように溶け込んでいるわけではありません。
タングステン・ドープ酸化チタンはナノサイズのものが液剤に添加されているので、液剤の中で分散しています。イメージとしては、牛乳の白色の脂肪分のようなものです。脂肪分は水に溶けませんが、乳化して混ざっています。
さて、液剤にタングステン・ドープ酸化チタンを混ぜていくと、その添加量が多くすれば、それだけ親水性の効果が高くなります。しかし、添加量が多くなり過ぎたら、タングステン・ドープ酸化チタンが沈殿することがあります。そうなると均一な親水コーティングができませんから、製品としては不良品になります。
沈殿は時間経過とともに起こりますから、液剤の保存期間とも関係があります。タングステン・ドープ酸化チタンが沈殿してしまったら、「液剤の容器をよく振ったらいいのではないか?」と考えますが、一度沈殿し始めると、タングステン・ドープ酸化チタンの結晶体の体積が大きくなってきているので、沈殿しやすくなっているはずです。
そのようなことで、弊社の製品は、光触媒のガラス親水コーティング剤で「保存期間が1年」と謳っていますが、各社メーカーでは1年の保存期間をなかなか実現できないようです。
液剤のゲル化と粘性について
光触媒の親水コーティング剤は、液剤の粘性が低いことが大事です。なぜなら、粘性が高くなると均一な塗装がしにくくなるからです。粘性の低い液剤を、専用の塗装機械とスプレーガンを使って塗装することで、均一に親水コーティングができます。
親水性の高い光触媒の親水コーティング剤は、タングステン・ドープ酸化チタンが添加された液剤です。しかし、タングステン・ドープ酸化チタンの添加量を増やすと、結晶体が沈殿してくることを述べましたが、液剤がゲル化し粘性が高まる現象も起きます。
ゲル化とは、ゼリーのような状態に近づいていくことです。粘性が高まると、それによっても均一な塗装が難しくなるのです。
光触媒の親水コーティング剤には、タングステン・ドープ酸化チタンと有機アモルファスが混合されて添加されており、有機アモルファスは、タングステン・ドープ酸化チタンをガラス面に接着するためのバインダー成分として添加されています。
ガラス用光触媒コーティング剤BTG01の特長
弊社では、ガラス面の親水性を高め、耐久性も高く、液剤として保存期間も長い製品を開発するために研究を重ね、「ガラス用光触媒コーティング剤BTG01」を開発しました。
この製品の特長は、次の通りです。
- タングステン・ドープ酸化チタンを採用
- 液剤の保存期間1年と防汚効果の高さを両立
- 界面活性剤を除き、使用される主成分は無機系
タングステン・ドープ酸化チタンは、酸化チタンなどと比べて親水性の効果が高いのですが、液剤にすることがとても難しい光触媒成分です。それを世界で初めて液剤として実用化されたものが、ガラス用光触媒コーティング剤BTG01です。
この液剤に使用される成分はほとんど無機系で、有機溶剤は使用していませんから、太陽光パネルに塗布しても太陽光パネルを傷めることはありません。
成分量を調整し、親水性の高さ、耐久性の高さ、液剤の保存期間1年を実現しました。
光触媒のガラス親水コーティングの正しい施工方法
ガラス用光触媒コーティング剤BTG01を使用したとしても、ガラス面に正しく施工しなければ、高い親水性が得られません。最後に、光触媒のガラス親水コーティングの正しい施工方法を解説いたします。
ガラス用光触媒コーティング剤BTG01を使ってのガラスの浸水コーティング施工の流れは次の通りです。
- ガラス面の入念な清掃及び研磨
- ガラス面の親水性の確認(親水性が不足していたら、親水性が出るまで研磨する)
- ガラス用光触媒コーティング剤BTG01の塗布
- ガラス用光触媒コーティング剤BTG01の塗布後、再度親水性を確認
ガラス面の入念な清掃と親水性の確認
ガラス面の清掃は、次の3種類の清掃を行います。
- 砂埃やPM2.5などの汚れを高圧洗浄で清掃
- 洗剤による油分の清掃
- 酸化セリウム配合のコンパウンドによる研磨を行いシリカやエフロの汚れを除去
少し面倒な清掃のように思われたかもしれませんが、親水コーティングをする場合は、同じように清掃を行います。汚れ、油分、シリカを取り除くことが、親水コーティングをしたときに親水性を得るために必要です。
洗剤やコンパウンドを使用した後は、それらの洗浄剤も入念に除去してください。
ガラス表面が入念に研磨できたら、ガラス表面に親水性が出てきます。無垢なガラス面は表面に水酸基が存在するので、親水性が出ます。親水性が出ていたら無垢なガラス面が出ている証明になります。
研磨後に水をかけてガラス表面の親水性を確認することで、研磨が正しく行われたかどうか、まだシリカやエフロの汚れが残っていないかの確認ができるわけです。
ガラス用光触媒コーティング剤BTG01の塗布
ガラス用光触媒コーティング剤BTG01の塗布は、塗装機械とスプレーガンを用いて塗装をします。
そして、塗装機械にABAC温風低圧塗装機を、スプレーガンのノズルに光触媒コーティング剤専用の小口径ノズル(φ0.3mm)を用いてください。ガラス用光触媒コーティング剤BTG01は、この組み合わせで最適な塗装ができるように成分調整をしてあるからです。
ガラス用光触媒コーティング剤BTG01の塗装は、バフ掛けを繰り返すシリカ系親水コーティングと比べると、光触媒系は専用の塗装機材を使用するものの、塗布の手間は大幅に軽減されます。
ガラス親水コーティング作業に用いるABAC温風低圧塗装機には、小型の塗装機械SG-91をおすすめしております。
SG-91は、オプション品でSG-91を背負えるキャリングハーネスというリュックサックがあり、作業性が高まります。また、スプレーガンに接続する簡易圧送キットを用いると、多量の液剤を腰に装着できるので、スプレーガンの取り回しが便利になります。
SG-91やオプション品などは、弊社でも販売しておりますので、お気軽にご相談ください。
この記事の著者/責任者
株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。