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プラスチックの光触媒加工とは?混合とコーティングの比較

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プラスチックの光触媒加工とは?混合とコーティングの比較

プラスチックの光触媒加工とは、プラスチックに光触媒の効果を付与する加工のことです。

プラスチックに光触媒加工する方法は、一般的には次の2種類あります。

  1. プラスチック素材に光触媒成分を混合して成型する
  2. 成型されたプラスチック製品の表面を光触媒コーティングする

名付けるとするならば、前者が素材混合型、後者が表面コーティング型とでもなります。他には、まだ見たことはありませんが、光触媒効果のあるプラスチック素材を利用する方法もあるかもしれません。

この2種類の加工方法を解説しつつ、効果や耐久性、加工の手間などを比較いたします。

プラスチックに光触媒成分を混合する光触媒加工

プラスチック素材に光触媒成分を混合し、成型する方法です。混合する光触媒成分は何でも可能です。プラスチック素材に光触媒成分を添加して成型するだけなので、加工方法はコーティング加工と比べたら簡単です。

練り込まれて表面に出てこない光触媒は効果がない

光触媒は、光が当たらないと効果がありません。ですので、練り込まれた光触媒成分のうち、効果を発揮するものは、プラスチックの表面に出てきている成分のみになります。

プラスチック製品の内部に光触媒成分が入り込んでしまうものもあるので、光触媒成分がムダになりやすいです。また、ほとんどが内部に入り込んでしまっているはずです。

直射日光でプラスチックを劣化させる恐れあり

光触媒が練り込まれたプラスチックは、室内で利用される場合には、劣化が問題とはなりませんが、直射日光が当たる場所では、プラスチックの劣化が問題となります。直射日光という強い光が当たると、光触媒が強く活性するので、プラスチックが劣化しやすくなります。

直射日光に当たる場所で使用するプラスチックの場合、混合型による光触媒加工では、光触媒による劣化からプラスチックを守る方法がありません。そのため、光触媒成分によってプラスチックが劣化しないような環境での利用か、光触媒の効果の弱い成分を使用するかのどちらでの利用に限られます。

均一に練り込まれることが大事

また、表面に均一に光触媒成分が出てきているとは限りませんから、そのこともあって光触媒の効果がさらに弱まってしまいます。光触媒の効果を高めたい場合は、たくさんの光触媒成分を添加することになり、コストが高まりますし、プラスチックの強度が下がったり、劣化しやすくなったりする恐れがあります。そのようなジレンマがあります。

光触媒の耐久性ですが、光触媒成分を練り込むわけですから、耐久性は高いように思います。表面の摩擦によって光触媒成分が取れてしまったとしても、プラスチックも摩擦ですり減ってくるので、また新しい光触媒成分が出てきます。

プラスチックの表面を光触媒コーティングする光触媒加工

光触媒コーティングとは、プラスチックの表面に光触媒コーティング液剤を塗装する加工方法です。光触媒の成分量が少なく、プラスチックの表面に均一に光触媒加工ができるので、材料費としてのコスパは良く、光触媒の効果も高いです。

塩化ビニルのコーティング塗装は難しい

塩化ビニルのように、プラスチックが水を強く弾くものだと、光触媒コーティング塗装をしたらダマになるので、均一に塗装ができません。光触媒コーティング加工ができるプラスチックの種類は、若干限られます。

なお、一般的な光触媒コーティング剤がすべて、塩化ビニル以外のプラスチックに塗装ができるかと言えば、そうではありません。そのため、弊社ではプラスチック専用の光触媒コーティング剤を開発しました。

プライマーの下地塗装でプラスチックの劣化を防げる

光触媒コーティング加工をする前に、下地剤(プライマー)を先に塗装しておけば、光触媒によるプラスチックの劣化を防ぐことができます。

光触媒加工のために、それらの塗装をするわけですから、加工の手間がかかります。

基本的に摩擦に弱い

光触媒コーティングの耐久性はどうかと言うと、光触媒コーティング剤には接着成分(バインダー)が含まれているので、ある程度の強度で光触媒成分を定着させることができます。しかし、単にコーティング加工しただけでは、摩擦に弱いことは確かです。

プラスチックの表面を光触媒コーティングした直後に、200℃以上に加熱ができたら強固に定着しますが、あまり現実的ではありません。

以上、プラスチックの光触媒加工について、光触媒成分をプラスチックに混合する方法と、プラスチックの表面をコーティング加工する方法を比較いたしました。

まとめると、耐久性の高い方法は混合加工です。光触媒成分を無駄なく利用でき、光触媒の効果を高め、プラスチックの劣化防止ができる方法はコーティング加工です。光触媒の加工方法は他にもあるかもしれません。

弊社は、プラスチック専用の光触媒コーティング剤を日本で初めて開発いたしました。プラスチックの光触媒コーティング加工なら、弊社までお気軽にご相談ください。

この記事の著者/責任者

島田幸一

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)

私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。

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