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光触媒コーティング剤に使用される光触媒の種類と効果【どれを選べば良いのか?】

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どれを選べばいいの?光触媒コーティング剤に使用される光触媒の種類と効果

光触媒コーティングとは、光触媒成分をコーティングする塗装のことです。塗装には、光触媒コーティング剤を用い、専用の塗装機械とスプレーガンで塗装します。

液剤は水のような粘性ですから、ペンキのような顔料が入った光触媒塗料とは性質が異なります。

光触媒コーティング剤に使用されている光触媒成分は、いろいろな種類があります。その種類によって効果を発揮できる場所や、効果の程度、耐久性などに差があります。

この記事では、光触媒コーティングを事業とされている方に向けて、光触媒コーティング剤の用途別の種類や、光触媒コーティング液剤に用いられる光触媒成分の種類と効果の関係など、少し専門的な用語を使いながらも、わかりやすく解説いたします。

光触媒コーティング剤の用途別の種類

光触媒コーティング剤の用途別の種類

塗装する箇所の下地の材質や環境によって、光触媒の効果や耐久性が異なるため、光触媒コーティング剤には塗装する箇所の環境に合わせた種類が存在します。

光触媒コーティングをしている業者によっては、1種類のみを施工しているところもあるかもしれませんが、1種類しか使用していない場合は、屋外もしくは室内のどちらかで効果が弱いはずです。

屋外で効果の高い光触媒コーティング剤は、屋内では効果が弱いか、効果がまったくありません。その反対に、屋内で効果の高い光触媒コーティング剤は、屋外では効果が弱い場合が多いです。その理由は、この記事を読み進めていただければ、ご理解いただけると思います。

さて、光触媒コーティング剤は、用途別に次のような種類があります。

  • 屋外用
  • 屋内用
  • 自動車用
  • ガラス用
  • 石材用
  • プラスチック用

弊社では、この6種類を開発いたしました。光触媒コーティング剤のメーカーによっては、これよりも種類が少ないかもしれませんし、もっといろいろな種類の製品をリリースしているところもあるかもしれません。

なぜ、このように用途別にいろいろな種類があるのかと申しますと、塗装箇所の材質や光の当たり方などの環境によって、光触媒の効果や耐久性が異なるからです。場合によっては、光触媒の効果がまったく出ない場合もあります。

例えば、酸化チタン光触媒を用いた光触媒コーティング剤は、外壁でも特に直射日光が当たる場所ではとても効果が高いです。しかし、屋内ではまったく効果がありません。「酸化チタン光触媒コーティングが効果を発揮する場所とは?」をご参照ください。

光触媒コーティングには、光触媒成分が添加されていますが、用途によってその種類を変えないといけません。

弊社では、日本一の効果の高さ、日本一の耐久性を両立させる製品の開発を旨としているため、塗装箇所の環境に応じたさまざまな種類の光触媒コーティング剤を開発しています。

光触媒コーティング液剤に用いられる光触媒成分の種類

光触媒の効果を持つ物質は、とてもたくさんの種類があります。添加する化合物や結晶構造にも種類があります。

一般的に販売されている光触媒コーティング剤に使用されている光触媒成分には、次のようなものがあります。

  • 酸化チタン(アナターゼ型)
  • 銅ドープ酸化チタン
  • 窒素ドープ酸化チタン
  • 鉄ドープ酸化チタン
  • 酸化タングステン
  • タングステン・ドープ酸化チタン

酸化チタンは、先ほど少し触れたように、直射日光が当たる箇所では高い効果を発揮する光触媒です。その理由は、直射日光に含まれる紫外線に反応して、触媒の効果を発揮する性質を持つからです。

ということは、紫外線が当たらない場所に塗装をしたら、触媒の効果を発揮しませんから、室内のような紫外線がほとんど無いところでは、効果が無いのです。

そのようなことで、施工業者の無知により、酸化チタンを使った光触媒コーティング剤を室内に使用してしまい、そのユーザー様が「光触媒コーティングは効果なし」とか「意味がない」と勘違いされる所以になっています。

銅ドープ酸化チタンや窒素ドープ酸化チタンは、酸化チタンに銅や窒素を加えて、担持させたものです。担持とは、酸化チタンを基材として、それに結合させることです。そうすることで、紫外線にしか反応しなかった酸化チタンが、紫外線はもちろんのこと、可視光にも反応して効果を発揮するようになります。

光触媒の名称は「ドープ」を使わないで、「銅担持酸化チタン」とか「窒素担持酸化チタン」と言われることもあります。

酸化タングステンは、それ単体で紫外線や可視光線に反応する材質です。

タングステン・ドープ酸化チタンは、ガラスの防汚用として利用される光触媒成分です。ガラス面の親水性を高め、セルフクリーニング効果を得るために利用されます。

活性化する光の種類による光触媒の分類

このように、光触媒成分は、どのような光が当たるのかによって活性化するのかの種類分けがあります。市販品を製造する光触媒メーカーは、大きく2つのカテゴリ分けをしています。

  • 紫外線応答型光触媒 ⇒ 紫外線にのみ反応する光触媒
  • 可視光応答型光触媒 ⇒ 紫外線や可視光にも反応する光触媒

もちろん、赤外線に反応する光触媒もありますが、市販されているものは聞いたことがありませんから、今現在はこの2種類になります。

紫外線応答型光触媒と可視光応答型光触媒

酸化チタン光触媒は、紫外線にのみ反応する光触媒成分ですから、紫外線応答型光触媒です。それ以外の、銅ドープ型や窒素ドープ型の酸化チタン、酸化タングステンは、紫外線のみならず可視光線にも反応するので、可視光応答型光触媒です。

室内には紫外線がありませんが、LED照明や蛍光灯などから可視光が出ています。室内に光触媒コーティングをする場合は、それらの光源の光によって触媒反応を示す光触媒成分、可視光応答型光触媒を使った光触媒コーティング剤を利用することが大切です。

ここで、可視光応答型光触媒にはいろいろな種類がありますが、性能に違いがあります。これらの中で、もっとも性能の高い、つまり光触媒の効果の高いものは、「銅ドープ酸化チタン」です。

窒素ドープ酸化チタンは、窒素ドープ酸化チタンや酸化タングステンと比べて、同じ可視光線を当てたとしても、数倍の効果を発揮します。反対に述べるならば、窒素ドープ酸化チタンや酸化タングステンは、光触媒の効果が弱いので、光触媒コーティングとして利用したときにカビが発生するなどして、クレームになることがあります。

光触媒成分の比較まとめ

市販品に利用されている光触媒成分の比較をまとめると、次の表のようになります。

 分類紫外線を照射可視光を照射暗所
酸化チタン紫外線応答型強い効果効果なし効果なし
銅ドープ酸化チタン可視光応答型効果あり効果ありやや効果あり
窒素ドープ酸化チタン可視光応答型効果ありやや効果あり効果なし
鉄ドープ酸化チタン可視光応答型効果ありあまり効果なし効果なし
酸化タングステン可視光応答型やや効果ありやや効果あり効果なし

紫外線が当たるところに反応する酸化チタンは、直射日光が当たる場所ですから、外壁に利用すると効果が高いです。

可視光が当たる場所は室内ですから、室内の光で反応し、なおかつ効果が高いものは銅ドープ酸化チタンになります。

さらには、光が当たらない場所、「暗所ではどうか?」ということですが、銅ドープ酸化チタンは、やや効果を発揮します。銅ドープ酸化チタン以外は、効果がありません。

銅ドープ酸化チタンは、室内の光があるところはもちろんのこと、夜間でも効果がある優れものなのです。

ガラスの防汚に用いられる光触媒成分の比較

ガラスの防汚に用いられている光触媒成分は、次の3種類です。

  • 酸化チタン
  • 酸化タングステン
  • タングステン・ドープ酸化チタン

ガラスの光触媒コーティングで求められる効果は、セルフクリーニング効果です。ガラスを光触媒コーティングすることによって親水性を持ち、雨水が当たることで汚れが自動的に落ちていく効果のことです。

一般に利用されている成分は、酸化チタンになります。酸化チタンは、紫外線が当たることによって超親水性の効果が発揮されますが、雨の日は紫外線がほとんどありませんから、親水性が出にくいことが知られています。雨が降って、なおかつ紫外線が当たる環境と言えば、日射しはあるのに雨が降る「天気雨」が起きたときぐらいのことでしょう。

酸化タングステンとタングステン・ドープ酸化チタンですが、雨の日で、なおかつ薄暗い北側の窓でも親水性を高められる成分は、タングステン・ドープ酸化チタンになります。ちなみに、タングステン・ドープ酸化チタンの光触媒コーティング剤は開発が難しいようで、製造しているメーカーは弊社のみです。

光触媒コーティング剤の効果の高さを決めるものとは?

さて、ここで「効果のある光触媒成分は分かったが、本当に効果があるのか?」という疑問を持たれたかもしれません。

用途に対応した「効果のある」と謳われている光触媒コーティング剤を塗装したとしても、実際には効果が出ない場合があります。その理由は、光触媒成分の含有量と、光触媒に当たる光の強さが関係します。

光触媒の効果の高さは、次の2つの要素で決まります。

  1. 光触媒成分の含有量の多さ
  2. 光の強さ

厳密には、光子が持つ光エネルギーの高さによっても、光触媒の効果の高さが異なりますが、そのような難しい話はさて置き、光触媒の効果は、基本的には光触媒成分の含有量が多ければ多いほど、光の強さが強ければ強いほど強くなるわけです。

ですから、いくら用途に応じた光触媒成分を使った光触媒コーティング剤を使用したとしても、成分量が少なければ、効果が弱くなります。

しかし、「含有量が多ければそれは優れた光触媒コーティングなのか?」と言われたら、それは疑問です。なぜなら、光触媒コーティング剤に含まれる酸化チタンは白色顔料でもあり、含有量が多すぎると白色になる可能性が非常に高くなるので、クリア塗装ができなくなります。酸化チタンの含有量が多いと、ゲル化しやすくなったり、液剤の劣化が進みやすかったりします。

また、光触媒コーティング剤の光触媒成分の含有量が多くなると、バインダー成分の含有量が少なくなります。そうすると、「確かに光触媒の効果は高いけれども、耐久性が著しく悪い」といった光触媒コーティング剤が生まれてしまいます。成分量のバランスがとても大事です。

ちなみに、バインダーとは接着成分のことです。

バインダー成分の種類と耐久性

光触媒コーティング剤には、光触媒成分の他に、バインダー(接着剤)が含まれています。バインダーが入っていないと、光触媒成分を塗装してもすぐに落ちてしまいます。バインダーが入っていることで、塗装面に強固に付着するわけです。

バインダー成分にどのようなものが利用されているのかによって、光触媒コーティング塗装の耐久性が異なることが判ります。耐久性の高いバインダー成分を利用していたら、耐久性の高い光触媒コーティング塗装になるからです。

バインダー成分の種類は、大きく2種類に分かれます。

  1. 有機バインダー
  2. 無機バインダー

有機バインダーとは、主に樹脂を使った有機成分のバインダーです。無機バインダーとは、無機成分を使ったバインダーです。有機バインダーは、なんだか健康に良さそうな名称ですが、有機野菜の有機とは意味が異なります。バインダーの成分が、有機物か無機物かの違いです。

さて、光触媒は紫外線などの光が当たることによって、有機物を酸化分解する性質があります。ということは、「有機バインダーは光触媒によって酸化分解されて劣化してく」ということです。

ですから、耐久性の高い光触媒コーティング剤は、無機バインダーを使ったものになります。

では、「無機バインダーを使っていたら何でも良いのか?」ということですが、それも否です。

無機バインダーにも種類があり、耐久性の高さや塗装面への接着の度合い、紫外線によって変質する性質などがあって、光触媒コーティング剤のメーカーは効果の高さと耐久性の高さを両立させるのに苦心しています。

イリスの光触媒コーティング剤

弊社では、このようないろいろな事情を考慮して、さまざまな試験を繰り返して、効果が高く耐久性もある光触媒コーティング剤を開発してきました。

今現在、弊社では次の光触媒コーティング剤を定番化しています。

  • 屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)
  • 屋外用光触媒コーティング剤(BX01)
  • ガラス用光触媒コーティング剤(BTG01)
  • 車用光触媒コーティング剤(BXR02-C)
  • 石材用光触媒コーティング剤(BXM01)
  • プラスチック用光触媒コーティング剤

これらの製品の詳細については、業務用光触媒製品をご覧ください。

光触媒コーティングの施工業者様で、「光触媒コーティング剤を利用しているけれども、効果が低い、耐久性が悪い」といった悩みをお持ちの方、他社の光触媒コーティング剤を利用してクレームに悩んでおられる方など、効果の高い光触媒コーティング剤メーカーをお探しなら、弊社までご相談ください。

この記事の著者/責任者

島田幸一

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)

私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。

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