定期メンテナンスを委託していない別荘は、換気されないので、部屋の中にカビが発生していることがよくあります。
室内にカビが発生しやすい別荘であれば、別荘に行っても、「カビ取りで週末が終わった」ということもあるかもしれません。せっかくの休日が、カビ取り対応で終わってしまいかねません。
この記事では、雨戸を閉め切った暗い室内でも、カビ対策ができる特殊な光触媒成分「銅ドープ酸化チタン」を解説いたします。
別荘を購入した直後で、カビ臭くなったり、カビだらけになる前に。また、何を試してもカビが発生して困っている方は、ぜひ銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティング施工をお試しください。
別荘のカビ対策の基本は換気
別荘は、月に1~2回ほど週末に利用するといった、少ない頻度での利用でしたら、部屋の中にカビが発生しやすいです。
特に、山中にある別荘であれば、外気が湿気ていることが多いので、室内も湿気ていることがあります。
外装の痛みもひどくなり、苔が生えて、そこから湿気がたまり、建材を傷めていくこともあります。
「久しぶりに別荘に行ったら、部屋の中がカビだらけになっていた」ということもあります。カビが見えていなかったとしても、部屋の中がカビ臭いときは、カビが見える前触れです。
カビ対策の基本は換気です。すべての部屋の窓を開けて、おもいっきり換気することが大事です。24時間365日換気してくれる装置も利用してください。
そして、壁にカビが発生していなくても、カビ取りで壁紙を拭くことで、カビの繁殖を予防できます。
ときどきしか利用しない別荘は、そのように掃除が大事になります。
光触媒で防カビができるメカニズム
光触媒で防カビができるメカニズムを解説します。知識をお持ちの方は読み飛ばしてください。
光触媒とは?
光触媒とは、光エネルギーを吸収して、有機物を分解する性質を持つ成分のことです。
光触媒成分が光エネルギーを吸収すると、励起電子が発生し、それがH2OやO2などと結びついて、OHラジカルという活性酸素を発生させます。OHラジカルは、とても強力な酸化力を持つ成分なので、カビ菌などの表面や細胞壁を酸化分解します。
そのようにして、カビ菌の活動を抑え、殺菌してくれる性質を持ちます。
そのような酸化力のある性質があり、細菌には脅威となりますが、私たち人間の皮膚には害はまったく無い優れものなのです。
光触媒の主な成分は酸化チタンですが・・・
光触媒の主な成分は酸化チタンです。もう少し詳しく解説しますと、酸化チタンには何種類かの結晶構造があり、「アナターゼ型」と言われる酸化チタンが、光触媒としてもっとも多く利用されています。
酸化チタンは、紫外線のみを吸収し、強力なカビ防止効果を発揮してくれます。
ここに、酸化チタン光触媒の問題点があります。それは、紫外線にしか反応しないことです。
別荘で防カビをしたいところは、主に室内のはずです。別荘は、利用していないときは防犯のこともあり、雨戸も締め切っていて、室内は真っ暗ですから、紫外線どころではありません。紫外線が当たる箇所は、直射日光が当たる場所くらいです。
外壁に酸化チタンを塗装して、「直射日光が当たる外壁のカビ対策ができる」と言ったとしても、カビが生えやすい場所は、北側のジメジメしたところで、そこも紫外線が当たりません。
暗闇でもカビ対策ができる、とんでもない光触媒が発見される!
この記事でお伝えしたいことは、今までであれば「光触媒は、光がないと効果がない」「紫外線が当たらないと効果がない」と言われてきたのですが、世の中には例外があるものです。
銅ドープ酸化チタンの発見
弊社の技術チームが、2002年に「室内の弱い光だけでなく、暗闇でもカビ対策ができる光触媒」を発見しました。
その名も、「銅ドープ酸化チタン」です。
酸化チタンには紫外線にしか反応しないので、「室内の明かりでも効果の高い酸化チタン光触媒を開発したい」という信念で研究を重ね、弊社が世界で初めて銅ドープ酸化チタンを発見しました。
そして、さらに世界で初めて、銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティング剤の開発にも成功しました。
その製品が、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)です。
この液剤を開発してから、さまざまな試験を行い、銅ドープ酸化チタンの可能性を研究しました。すると、暗所でも抗菌効果があることが判明しました。もはや、光触媒と言っていいのかわからない性質を持つものを発明してしまったようです。
銅ドープ酸化チタンと酸化タングステンの比較
この発見の前には、酸化タングステンと言われる成分が、室内用としてよく出回っていました。酸化タングステンは、紫外線だけでなく青色の光、つまり室内の光にも反応する光触媒だったからです。
しかし、酸化タングステンは確かに室内の光でも活性化するのですが、効果が弱いので、酸化タングステンを使った光触媒コーティングをしても、1年もしないうちにカビが生えて、たくさんのクレームが入った施工業者もありました。
銅ドープ酸化チタンは、酸化タングステンと比べて5~7倍もの活性を示すようなのです。
しかも、暗所でもカビ防止の効果があります。それに対して酸化タングステンは、暗所でのカビ防止効果はありません。
銅ドープ酸化チタンとは?
銅は10円玉の原料にもなっている銅です。ドープとは、「添加した」とか「加えた」という意味です。酸化チタンは、光触媒成分です。
銅ドープ酸化チタンは、基材となる酸化チタンに銅を結合させた成分です。銅が結合することで、今まで紫外線にしか反応しなかった酸化チタンが、青色の光にも反応し、しかも高い触媒効果を発揮します。
ときどき、「銅イオンをハイブリッドした酸化チタン」という製品が市販されていますが、ドープとハイブリッドは少し意味が異なります。ドープは、酸化チタンと銅が結合した状態で、高い効果を発揮します。ハイブリッドは、酸化チタン液剤に銅イオンを単に混ぜただけのものが多いです。
まがい物にご注意ください。
銅ドープ酸化チタンは別荘のカビ対策に有効か?
弊社が世界で初めて発見した、銅ドープ酸化チタンについて解説いたします。銅ドープ酸化チタンは別荘のカビ対策に有効かどうかは、長所と短所を見比べてご判断ください。
銅ドープ酸化チタンの特長
銅ドープ酸化チタンを発見し、その性質を調べるために、さまざまな試験していると、次のような特長があることが判りました。
- 紫外線が当たればもちろんのこと、室内の弱い光(200lxほど)でも、高いカビ防止効果を発揮
- 暗所でもカビ対策ができる。もちろんカビの臭いも消臭できる
- コーティング剤にしても成分が安定的
- 耐久性が高いので、効果が持続しやすい(屋内塗装で10年以上持続)
- 元素が地球上に豊富に存在するので、成分を安価に手に入れられやすい
- 身体に安全な成分
弊社が2002年に銅ドープ酸化チタンを発見し、世に問うたところ、さまざまな反響がありました。2007年には、「銅ドープ酸化チタンを超える成分を開発するのだ」ということで、有名な大学や大手企業の研究所などが、NEDOのプロジェクトとして立ち上がり、総力を結集したことがありました。
その結果、「銅ドープ酸化チタンが最強である。今後、これ以上の効果の高い光触媒は現れないかもしれない」という結論に至ったそうです。いずれは、もっと性能の高い光触媒が開発されると思いますが、効果だけが高くても上記のような長所すべて兼ね備えたものは、なかなか出てこないと思います。
そのようなことで、銅ドープ酸化チタンは、別荘のカビ対策に最適な成分だと言えます。
カビ対策だけでない銅ドープ酸化チタンの効果
銅ドープ酸化チタンができることは、室内のカビ対策だけではありません。次のような効果もあります。
- 部屋の除菌
- トイレの消臭
- ペットの臭いの消臭
- シックハウスの原因となる化学物質(VOC)の分解
部屋の中には、雑菌や臭い成分が浮遊しています。それらが活性化した銅ドープ酸化チタンに触れると、酸化分解してくれるので、除菌や消臭ができるわけです。
手軽に消臭ができる銅ドープ酸化チタン光触媒を使った除菌・消臭スプレーもございますので、併せてご利用ください。
銅ドープ酸化チタンの短所
長所の多い銅ドープ酸化チタンですが、もちろん短所もあります。
銅ドープ酸化チタンを発見した後、弊社ではすぐさま光触媒コーティング剤として製品化に成功しました。銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティング剤をさまざまなお客様にご利用いただき、次のような短所があることもわかりました。
- 光触媒コーティング剤の塗装には、専用の塗装機械とスプレーガンを使用しないといけない
- そのため、施工は業者に依頼することになり、自分では塗装できないので、施工費用がかかる
- あまりにも効果が強いので、窓際の直射日光が当たりやすい場所は、建材が劣化しやすい
- それを防ぐために、直射日光が当たる箇所は、あらかじめ下地保護剤(プライマー)を塗装する必要がある
- 窓ガラスや鏡に付着してしまったら、酸化チタンの虹色のまだら模様が出てしまう(施工前に養生をする)
専用の塗装機械とスプレーガン
専用の塗装機械とスプレーガンには、ABAC温風低圧塗装機を用います。
ABAC温風低圧塗装機と専用のスプレーガンは、光触媒コーティング塗装機材をご覧ください。
下地保護剤(プライマー)
弊社が開発した下地保護剤(プライマー)は、屋内用プライマー(AS01)です。
プライマーは、光触媒成分が外壁の有機物に直接触れないようにするために、あらかじめ塗装しておく液剤です。直射日光が当たる箇所のみ、光触媒の効果が強く出てしまうので、プライマーを塗装しておきます。
プライマーの主成分は、光触媒に分解されない無機成分で、光触媒の性質を持たない「アモルファス酸化チタン」です。
これらの短所を補うためには、施工業者は光触媒の知識や塗装技術を要します。それが短所です。弊社の光触媒製品を扱う施工業者に依頼していただくことになります。
別荘の外壁のカビ対策やコケ対策は?
別荘のカビ対策は、室内だけではありません。別荘の外壁でも、北側のジメジメした場所の壁にはカビやコケが発生します。
コケは水分を含むので、ウッドデッキのコケは滑って転ぶ原因になったり、ウッドデッキや建材が劣化する原因にもなります。
別荘の室内のカビ対策には、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)を利用することをお伝えしました。では、別荘の外壁のカビ対策やコケ対策はどうしたら良いのでしょうか?
その答えは、「室内でも利用した屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)を外壁に使用すること」です。
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)は、名称が「屋内用」となっていますが、外壁やウッドデッキにも利用できます。
直射日光が当たる外壁であれば、銅ドープ酸化チタンでなくても、一般的な酸化チタン光触媒でカビ対策ができます。しかし、直射日光が当たる場所には、カビは発生しにくいものです。問題は直射日光が当たらない箇所です。
そういった箇所は、一般的な酸化チタン光触媒ではカビ防止効果を発揮しないので、銅ドープ酸化チタンを利用することを強くおすすめします。
銅ドープ酸化チタンは、塗装面の有機物を分解するので、塗装前にやはり下地保護剤(プライマー)を利用します。外壁に利用するプライマーは、屋内用ではなく屋外用のプライマーを利用してください。弊社の製品は、屋外用プライマー(ASS01)です。
以上、別荘のカビ対策、カビの臭い対策に効果的な銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティングを解説いたしました。
別荘のカビ対策で、いろいろと試してきたけれども効果があまり感じられなかった方は、ぜひ銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティングをお試しください。
この記事の著者/責任者
株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。