打ちっ放しのコンクリート外壁は、雨水の湿気を吸うために、日陰の部分ではカビが発生することがあります。
新しいコンクリート外壁の表面は、アルカリ性が強いのでカビが発生しにくいのですが、時間の経過とともに中性化してきて、カビが生えやすくなります。
コンクリート外壁にカビが生えると、見栄えを悪くします。ホテルなどの、見栄えが求められる建物では、コンクリート外壁が黒くなっていたら、良くありません。
コンクリート外壁の防カビで、効果の高さと持続期間を求めるのであれば、光触媒がおすすめです。
この記事では、打ちっ放しのコンクリート外壁のカビ防止に最適な光触媒塗料について、光触媒コーティングによるコンクリート外壁塗装の流れと注意点をご説明します。
コンクリート外壁生えたカビの除去
コンクリート外壁にカビが生えてしまったら、できるだけ早めにカビを除去することが大事です。なぜなら、カビは根っ子を張るからです。
一度カビが生えてしまったら、カビが根っ子を張っていきますから、表面のカビを除去しても、またすぐにカビが生えてくるようになってしまいます。
コンクリート外壁のカビの除去には、コンクリートにも使えるカビ取り剤が市販されています。自分でカビ取りをする場合には、ネット通販でも購入ができます。
カビ取り剤にはアルカリ性のものを利用すると、コンクリートを傷めないので良いでしょう。
光触媒で防カビをする場合は、あらかじめコンクリート外壁に発生したカビを除去してから、光触媒の入った塗料や液剤を塗布します。
光触媒による防カビ塗装
光触媒とは、光エネルギーを受けると、カビ菌を分解してくれる成分のことです。コンクリート外壁は苔が発生して、緑色になることもありますが、光触媒でしたら苔も分解してくれます。
このような性質を持つ光触媒を、コンクリート外壁に塗装することで、コンクリート外壁のカビを防止することができます。
また、光触媒の親水性によって、雨水によってコンクリート外壁に付着した汚れを落としてくれるセルフクリーニングの効果もあります。
外壁用の光触媒塗装には、次の2種類の外壁剤が利用されます。
- 光触媒塗料
- 光触媒コーティング剤
この2つを比較して、メリットとデメリットを解説します。
光触媒塗料のメリット・デメリット
光触媒塗料はペンキのように、色の入った塗料を外壁に塗るものです。
光触媒塗料のメリット
光触媒塗料の塗装はペイントローラーで行えるので、手軽に塗装ができます。光触媒塗料を手に入れられるようでしたら、自分でも塗装ができます。そのようなことで、塗装の費用が安く抑えられるメリットがあります。
光触媒塗料のデメリット
光触媒塗料は、打ちっ放しの上に染料を塗るわけですから、打ちっ放しではなくなってしまいます。
光触媒塗料には、製品によっては大きなデメリットがあります。
それは、光触媒成分がカビ菌などの有機物を分解してくれるのですが、それと同時に塗料に含まれる染料や、塗料を壁面に固定する接着剤(バインダー)をも分解することです。
顔料が分解されると色あせが起こります。また、バインダーが分解されると塗料にチョーキングと言って白い粉が発生したり、塗料がひび割れたりします。このような劣化が起こりやすいです。
光触媒塗料のメーカー各社は、そのデメリットを克服するために、さまざまな工夫をしています。しかし、中には「美しさが10年以上保たれる」と長期間の耐用年数があると言われていたものが、4~5年ほどで色あせしてしまってクレームが殺到したケースもあります。
光触媒塗料を選ぶ際は、製品の口コミにもご注意ください。
光触媒コーティング剤のメリット・デメリット
光触媒コーティング剤は、透明な光触媒液剤を塗装する方法です。透明な塗装のことを、クリア塗装といいます。
光触媒コーティング剤のメリット
光触媒コーティング剤を利用すると、打ちっ放しのコンクリート外壁にクリア塗装ができるので、打ちっ放しの質感をそのままに、光触媒を塗布できます。
光触媒コーティング剤のデメリット
光触媒コーティングの塗装には、専用の塗装機械とスプレーガンを用いるので、業者に依頼しないと施工ができません。また、光触媒の親水性によって、コンクリートに雨水がしみ込みやすくなることです。
コンクリートに雨水がしみ込みやすくなると、コンクリート内部が中性化しやすくなり、コンクリートの劣化を早めることになります。
打ちっ放しのコンクリート外壁に光触媒コーティングをする場合は、コンクリート外壁を雨水から守る下地材を先に塗装しておくことが大事です。おすすめの下地剤は、後ほどご説明します。
このようなことから、光触媒塗料と比べると施工費用が高くなります。
光触媒塗料と光触媒コーティングのどちらを選べば良いのか?
「結局のところ、光触媒塗料と光触媒コーティングのどちらを選べば良いのか?」ということですが、メリットやデメリットを考慮して、次の基準で選ぶことをおすすめします。
- クリア塗装ができなくても良く、色あせしても良い ⇒ 光触媒塗料
- コンクリートの質感を保ちたい ⇒ 光触媒コーティング剤
どちらを施工すべきか迷ったら、弊社や弊社の施工代理店までご相談ください。
光触媒成分の選び方
コンクリート外壁に直射日光が当たるかどうかによって、光触媒成分を使い分けた方が良いです。日陰になる箇所では、防カビの効果が弱くなり、せっかく光触媒を塗布してもカビが発生することもあり得るからです。
直射日光が当たる箇所の防カビは「酸化チタン」
昼間の直射日光が当たる場所は酸化チタン光触媒を用います。酸化チタンは、紫外線が当たると強力に防カビ効果を発揮するからです。
昼間の直射日光には紫外線がたくさん含まれます。紫外線が当たると酸化チタンは、強力に活性化します。
ところが、普段から日陰になっていたり、ジメジメしている場所では、紫外線が当たらないため、酸化チタン光触媒が効果を発揮しません。そういった場所では、せっかく酸化チタンを塗布しても、カビが発生する恐れがあります。
日陰の箇所の防カビは「銅ドープ酸化チタン」
日陰の箇所の防カビには銅ドープ酸化チタン光触媒を用います。「銅ドープ」というのは、酸化チタンに銅を加えたものです。
酸化チタンにナノサイズの銅が担持されると、酸化チタンが紫外線でなくても強い触媒の効果が発生し、日陰でも防カビができます。
またナノサイズの銅は、それだけでも防カビの効果があり、若干効果が弱くなりますが、夜間でも防カビができるという特性を持っています。ですから、銅ドープ酸化チタンは、日陰になる部分だけでなく、地下室や暗い倉庫の防カビや消臭にも用いられています。
銅ドープ酸化チタンの効果については、「地下コンクリート壁のカビ防止に最適な銅ドープ酸化チタン光触媒」をご覧ください。
まとめると、次のようになります。
- 直射日光が当たるコンクリート外壁 ⇒ 酸化チタン
- 日陰になるコンクリート外壁 ⇒ 銅ドープ酸化チタン
ちなみに、現在のところ銅ドープ酸化チタンを使った光触媒塗料は存在しません。銅ドープ酸化チタンを使って強力に防カビをしたい場合は、光触媒コーティング剤を使用する方法のみとなります。
光触媒コーティングによる
コンクリート外壁塗装の流れと注意点
カビが発生したコンクリート外壁に光触媒コーティング塗装をする流れは、次の通りです。
- コンクリート外壁の洗浄
- コンクリート用プライマーの塗装
- 光触媒コーティング剤の塗装
それぞれの流れでの注意点をご説明いたします。塗装方法の詳細は、「コンクリート打ち放しに光触媒コーティングする方法」をご覧ください。
1.コンクリート外壁の洗浄
コンクリート外壁の洗浄は、コンクリートにも使える洗剤を使ってしっかり行ってください。汚れをしっかりと落としておかないと、汚れに光触媒コーティング塗装をすることになります。
そうすると、光触媒コーティング剤が汚れを分解して落ちていくときに、光触媒コーティング剤も落ちていってしまうので、光触媒の効果の持続期間が短くなってしまいます。
ちなみに、弊社が開発した光触媒コーティング剤であれば、使用環境にもよりますが、外壁塗装の耐用年数は10年以上、実際には20年以上効果が持続している物件もあります。
2.コンクリート用プライマーの塗装
コンクリート用プライマーとは、打ちっ放しのコンクリート外壁に塗装することで、コンクリートの表面の水を弾いてくれて、コンクリート表面を強化する強化剤です。
コンクリートに光触媒コーティングをすると、雨水が壁面に馴染むので、コンクリート内部に雨水が入り込みやすくなりますが、光触媒コーティング塗装をする前にコンクリート用プライマーを塗装しておくことで、その対策ができます。
弊社では、コンクリート用プライマー(セラミックプライマー)という名称で販売しております。どうぞご利用ください。
ただし、コンクリート外壁がトンネルや地下室などの、コンクリート内部に水が発生する場合は、コンクリート用プライマーを塗装すると、内部の水分を封じ込めることになります。コンクリート外壁の状況を見てから、コンクリート用プライマーの塗装のご判断をお願いします。
3.光触媒コーティング剤の塗装
コンクリート用プライマーを塗装して、乾燥してから光触媒コーティング剤を塗装します。弊社が販売しているセラミックプライマーは、夏季は6時間ほど、冬季では12時間ほど乾燥させます。
光触媒コーティング剤は、先ほどご説明したように、直射日光が当たる場所では酸化チタン光触媒のものを、日陰になる場所では銅ドープ酸化チタン光触媒のものを使用します。直射日光が当たる場所か、日陰になる場所か迷ったら、日陰用を用いてください。
光触媒コーティング剤の塗装は、専用の塗装機械とスプレーガンを用いることを先ほど解説しました。弊社では、塗装機械に「ABAC温風低圧塗装機」を推奨しています。この装置は弊社でも販売しており、ABAC温風低圧塗装機SG-91光触媒塗装セットという光触媒コーティング塗装専用のセットをご用意しております。どうぞご利用ください。
以上、打ちっ放しのコンクリート外壁のカビ防止に最適な光触媒、光触媒コーティング塗装の流れと注意点をご説明いたしました。
コンクリート外壁の防カビで、効果の高さと持続期間を求めるのであれば、光触媒がおすすめです。日陰になる場所では、銅ドープ酸化チタンをご利用ください。
コンクリート外壁の光触媒コーティング施工のご用命は、弊社もしくは弊社の光触媒コーティング製品を扱う施工代理店までご相談ください。弊社の光触媒コーティング製品を扱う施工代理店一覧は、低層外壁の光触媒コーティング施工代理店をご覧ください。
この記事の著者/責任者
株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。