とある企業様からのご相談で、「特殊清掃をしたのだが、臭いが消えなくて困っている」とご相談をいただきました。
ご事情を伺うと、とある賃貸物件で特殊清掃を行ったそうです。ところが臭いが消えなかったため、部屋の中を完全にリフォームしたり、オゾン脱臭を試したりと、いろいろな消臭をしました。
消臭剤によっては、しばらくは臭いが収まっても、また臭いが出てきて困っており、最後の望みとして弊社の光触媒コーティング剤の効果をご相談いただきました。
結論から申しますと、消臭に成功したため、特殊清掃をしても臭いが消えないときの消臭剤として、弊社製品が採用されました。
特殊清掃の状況
賃貸物件ではいろいろな人が住んでいます。また、残念ながら、お一人でお住まいの方で、お亡くなりになっても何日も気がつかれないままの方もいらっしゃいます。いわゆる事故物件です。
年間6万8千人ほどの65歳以上のご高齢者が、一人暮らしの自宅で亡くなっているという警察庁の推計もあります。この数字は年々増えていくことが予想されています。
また、火事があった部屋や、ごみ山の部屋の清掃もあるようです。
事故物件や火事の後といった、普段とは異なる清掃活動を特殊清掃と言うそうです。
人が生活をする中でいろいろな臭いがありますが、特殊清掃によって消臭させたい臭いは、なかなか落ちないことで知られています。
空いている賃貸物件の入居が決まる条件はいろいろですが、部屋に臭いが無いことが必須条件と言えます。ですので、不動産価値を守るためにも、事故物件の特殊清掃はとても大事なことです。
とある不動産会社様からのご相談で、「特殊清掃を依頼したが、臭いが消えなくて困っている。部屋の中を完全にリフォームして、いろいろな消臭を試したが消臭できない」ということで、ご連絡をいただきました。
当時は、弊社でも特殊清掃後の消臭は実績が無かったので、試験をさせていただくつもりであることをご了承いただき、施策いたしました。
オゾン脱臭や次亜塩素酸で臭いが消えなかった理由
部屋の臭いを消臭する方法として、オゾン脱臭や次亜塩素酸が有名です。それらの成分は、オゾン脱臭装置を起動させているときや、次亜塩素酸を塗布したときは効果があるのですが、装置を停止させたり塗布をしていないときは、出てくる臭いを防ぐことができません。
特殊清掃での臭い成分は、床下にしみ込んでいるものなので、リフォームで床を張り替えても、少しでも成分が残っていたら臭いが染み出てきます。しみ込んだ臭い元から除去しないと、それらの施策は効果が発揮されないと思われます。
そのため、不動産会社様はオゾン脱臭や次亜塩素酸は効果がなかったように感じられたのでしょう。
光触媒が特殊清掃で取れなかった
臭いを消臭するメカニズム
光触媒は、光エネルギーを受けると強力な活性酸素を発生させて、有機物を分解します。特殊清掃でも取れなかった臭いは、有機物の臭い成分ですので、光触媒によって分解されます。
光触媒成分の代表は酸化チタンです。酸化チタンは紫外線が当たると、臭いを強力に分解してくれるのですが、賃貸物件の消臭のご相談は室内ですので、酸化チタンでは消臭ができません。
室内の光でも強力に消臭ができる光触媒成分は、銅ドープ酸化チタンと言われる成分です。この成分は、添加されたナノサイズの酸化銅によって、光が当たらない場所でも触媒効果を発揮するので、しみ込んだ臭いの元に届いて消臭し続けてくれる優れものです。
ちなみに、銅ドープ酸化チタンを世界で初めて発見したのは弊社で、その成分が世界で初めて光触媒コーティング剤として製品化されたのが屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)です。
当時の施工方法
賃貸物件に、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)を次のように塗装しました。
- 部屋全体に屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)を塗装
- 臭いの発生源の箇所を重点的に塗り重ねる
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)の塗装には、ABAC温風低圧塗装機と専用のスプレーノズルを用いました。
なお、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)はとても光触媒効果の高い製品ですので、室内でも直射日光が当たる箇所に塗装する場合には、あらかじめ下地剤を塗装して塗装面を光触媒による劣化から保護する必要があります。
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)の施工方法や注意点については、「室内用光触媒コーティング剤BX01-AB1の塗装方法や注意点」をご覧ください。
施工後、すぐに臭いが消え、しばらく放置をしていても、独特の臭いが出てこなくなったそうです。消臭効果の高さが認められ、完全にリフォームをしても臭いが消えないケースがあったときの対処法として、弊社の屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)が採用されるようになりました。
屋内用光触媒コーティング剤
(BX01-AB1)で消臭ができた理由
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)で消臭ができた理由は、臭いの元を光触媒で直接コーティングしたことと、光がなくても消臭効果のある銅ドープ酸化チタンを使ったことです。
臭いの元を光触媒で直接コーティングしたことによる消臭
臭いの元が床にしみ込んでいましたが、その上から念入りに光触媒コーティング剤を塗装したことで、床の中にまで光触媒コーティング剤がしみ込みました。それによって、臭いの元に光触媒を直接コーティングできたので、臭いが出ようとすると、すぐに光触媒によって消臭されました。
出てきた臭いを消臭するのではなく、出ようとする臭いを直接分解することで、臭いが出ることを許さなかったわけです。
また、部屋全体をも光触媒コーティングしたことで、消臭し切れなかった微量の臭い成分があったとしても、部屋の壁紙や天井などに触れて、連続的に消臭されていきました。
夜間も効果のある光触媒成分による消臭
銅ドープ酸化チタンが入った光触媒コーティング剤を使用したことで、室内の光が当たっているときはもちろんのこと、消灯している夜間でも臭い成分が消臭され続けました。
例えば酸化チタンだけの光触媒コーティング剤でしたら、紫外線が当たらないと消臭効果はありません。室内は紫外線が極端に少ない環境ですので、酸化チタン光触媒では消臭ができません。
室内の光でも光触媒の効果を発揮する、可視光応答型光触媒ならどうでしょうか?
酸化タングステンを代表とする可視光応答型光触媒でしたら、確かに室内の光でも消臭効果が発揮されます。しかし、一般的な可視光応答型光触媒では、特殊清掃でも消せないような強い臭いは消臭し切れない場合があること。また室内の明かりを消灯してしまったら、この場合も臭いが消臭できないことから、特殊清掃でも消せなかった臭いの消臭は難しいことでしょう。
銅ドープ酸化チタンは、室内の光でも強い消臭効果を発揮し、なおかつ明かりを消灯しても、消臭効果を発揮し続けます。
銅ドープ酸化チタン光触媒は、オゾンや次亜塩素酸とは異なり、出てきた臭いを消臭するのではなく、臭いの元をコーティングして消臭ができます。また、一般的な可視光応答型光触媒とは異なり、明かりを消した夜間にも消臭し続けてくれるのです。
以上、特殊清掃をしても消えなかった臭いを、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)で消臭ができ、消臭剤と採用された事例にて、光触媒の消臭力を解説いたしました。
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)は、特殊清掃で消えない臭いの消臭だけでなく、スパイスの臭いでお困りの賃貸物件でも利用され、消臭効果を発揮しました。
賃貸物件の消臭でお困りの方は、ぜひ弊社もしくは弊社の施工代理店までご相談ください。弊社製品を扱う施工代理店は、光触媒コーティング塗装の施工代理店一覧をご覧ください。
この記事の著者/責任者
株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。