コンクリート打ちっ放しは、外壁や地下室、地下駐車場などで利用されています。
日陰や地下のコンクリート打ちっ放しは、湿気によってカビが生えてしまうことがあります。
防カビ剤には光触媒の成分を使ったものがありますが、それがコンクリート打ちっ放しの防カビに最適なのかどうかを解説します。
結論から述べると、光触媒はコンクリートと相性が悪いので、光触媒を塗装する前に下塗りしておく下地剤に適切なものを選ぶことが大事です。
この記事では、光触媒とコンクリート外壁の相性が悪い理由や、光触媒の防カビ剤を塗装する前に塗装するおすすめの下地剤、地下のコンクリートの防カビにも効果的な光触媒コーティング剤を解説いたします。
光触媒とコンクリート外壁の相性が悪い理由
光触媒には、光エネルギーを受けてカビ菌を分解する効果があります。コンクリートの表面に光触媒を塗装すると、コンクリートの防カビができるのですが、デメリットもあります。
それは、光触媒は親水性が高いので、コンクリートを劣化させる性質があることです。
コンクリートは、表面に雨水などの水分が付着すると、その水分が内部にしみ込んでいきます。その水分によってコンクリートの表面が劣化しやすくなります。もちろん短期的には問題は無いと思われますが、長期的となるとコンクリートの表面を傷めてしまう可能性があるのです。
そういった意味で、コンクリート外壁は光触媒と相性が悪いのです。
しかし、光触媒がコンクリート外壁にもたらすメリットは、捨てがたいものがあります。光触媒の親水性によって集まってくる水分がコンクリート外壁の内部に浸透しないようにすれば問題ありません。
そこで、光触媒を塗装する前に、コンクリート外壁の表面を別の素材でコーティングして対策をします。
打ちっ放しのコンクリート外壁に光触媒を
塗装するときにおすすめの下地剤とは?
打ちっ放しのコンクリート外壁に光触媒塗装をするときに最適な下地剤は、次の4つの条件を満たすことです。
- 水分をはじくこと
- 光触媒によって分解されない成分であること
- クリア塗装ができること
- 耐久性が高く、経年劣化しにくいこと
【条件1】水分をはじくこと
最適な下地剤の条件の1つ目は、水をはじくことです。水をはじく成分をコンクリートの表面に塗装すれば、光触媒の親水性によって水分を引き寄せても、その水分によるコンクリートの劣化を防止してくれます。
なお、水をはじく成分をコンクリートに下地として塗装すると、「光触媒の塗料をはじいてしまうのではないか?」とご心配される方もいらっしゃいますが、ご安心ください。
弊社の光触媒塗料は、水をはじく下地剤にも塗装ができるように、成分を調合しています。
【条件2】光触媒によって分解されない成分であること
水をはじく成分であったとしても、樹脂系のものであれば、たいていは光触媒で分解されてしまいます。下地剤が光触媒によって分解されてしまったら、光触媒塗装が剥がれてしまうときに、光触媒もいっしょに剥がれていってしまいます。
下地剤は、光触媒によって分解されない無機系のものか、有機系のものでも光触媒で分解されないものを選ぶ必要があります。
【条件3】クリア塗装ができること
コンクリート打ちっ放しは、その見た目の質感の良さから、打ちっ放しのままにしてあります。下地剤を塗装して打ちっ放しに色が付いてしまっては、その質感が台無しです。打ちっ放しに色が付かないような透明な下地剤でないといけません。
透明な塗装のことを、クリア塗装と言います。下地剤の条件として、クリア塗装ができることは外せません。
【条件4】耐久性が高く、経年劣化しにくいこと
最後に耐久性です。弊社が開発した光触媒塗料は、耐久性がとても高いので、外壁塗装の場合には10~20年の耐久性があります。
それに匹敵するくらいの耐久性のある下地剤であれば、長期間光触媒の効果をコンクリートに付与できます。再塗装の頻度を下げられるので、メンテナンスの手間を削減でき、コスト削減にもつながります。
4つの条件を満たす下地剤はコンクリート用プライマー(セラミックプライマー)
上記の4つの条件を満たす、弊社がおすすめする下地剤は、コンクリート用プライマー(セラミックプライマー)です。
セラミックプライマーは、成分がセラミックですので光触媒によって分解されず、水分をはじいて通さない性質があります。この上から光触媒を塗装することで、光触媒のメリットを生かしつつ、デメリットである水分がコンクリートに触れることを抑えてくれます。
セラミックプライマーは、クリア塗装ができるタイプの塗料ですので、コンクリート打ちっ放しの見た目の質感を損なうことはありません。
コンクリート打ちっ放しに光触媒塗装をしたい場合は、下地剤としてセラミックプライマーをご利用ください。セラミックプライマーをご利用になられたい企業様は、弊社までご相談ください。
地下室のコンクリートの防カビに効果的な
光触媒コーティング剤とは?
地下室の防カビをしたい場合は、どのような光触媒コーティング剤でも良いわけではありません。製品によっては、まったく防カビができないものもあります。
光触媒は光エネルギーを受けることで、カビ菌を分解する性質が出ます。どのような光の波長に反応して、カビ菌を分解する性質が出てくるのか、またその効果の高さは、光触媒の成分によってことなります。
光触媒の効果がもっとも高い成分は、酸化チタンです。酸化チタンは、直射日光などの紫外線を受けることで、防カビの効果を発揮します。
ところが、地下のコンクリート打ちっ放しはどうでしょうか?
地下には紫外線はありませんし、蛍光灯の光も弱いです。そういった中では、一般的な酸化チタンでは、光触媒の効果が出ません。
そこで、「地下の蛍光灯の光でも、酸化チタンのような強力な光触媒の効果がある成分はあるのか?」ということですが、銅ドープ酸化チタンというものがあります。
銅ドープ酸化チタンは、蛍光灯の光でも光触媒の効果を発揮し、光触媒の専門家の中には「可視光で銅ドープ酸化チタンよりも強い効果のあるものは、今後なかなか出てこないだろう」とも述べられている人もいるくらいの、優秀な成分です。
この成分は、20年ほど前に弊社が世界で初めて発見したものです。
地下室のコンクリートの防カビなら、銅ドープ酸化チタンのご利用をおすすめします。
コンクリートに光触媒塗装をして
防カビをしたい場合の組み合わせ
コンクリートに光触媒を塗装すると、光触媒の親水性によって、コンクリートの劣化を早めてしまう恐れがあります。
それを防止するために、光触媒を塗装する前に、水をはじく下地剤を下塗りします。下地剤としておすすめの塗料はセラミックプライマーです。水分を強力にはじいてくれ、光触媒によっても分解されず、耐久性も高いです。
外壁のような直射日光が当たる部分には、酸化チタンを使った光触媒を塗装します。また、地下などの日光が当たらない部分や、外壁でも日光が当たらずに湿気のあるところには、銅ドープ酸化チタンの光触媒を塗装します。
弊社の銅ドープ酸化チタン光触媒を用いた製品は、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)です。この製品は、水をはじくセラミックプライマーにも塗装ができるための成分が配合されています。
光触媒を使ったコンクリートの防カビコーティング剤やプライマーをお探しなら、イリスまでご相談ください。また、防カビコーティング塗装のご依頼も、弊社までご相談ください。
この記事の著者/責任者
株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。