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光触媒でホテルの部屋のタバコの臭いを消す方法

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光触媒でホテルの部屋のタバコの臭いを消す方法

弊社は業務用抗菌・消臭剤を開発しているメーカーですが、それを使った施工も行っています。

ホテルからよくあるご相談は、部屋の消臭ですが、主にタバコの臭いとカビの臭いについてです。

部屋の消臭は、ホテルの売上にも直結します。高級ホテルであれば、なおさら消臭が大切であることでしょう。

この記事では、光触媒でホテルの部屋のタバコの臭いを消す方法をご説明いたします。

ホテルは喫煙室であっても、「タバコの臭いを消臭したい」というご要望をいただくことがあります。中には、「オゾン脱臭など、いろいろな消臭方法を試したが消臭し切れなかった。イリスなら消臭ができるのか?」というご相談もあります。

結論から述べますと、臭いの酷さや環境にもよりますが、部屋中を銅ドープ酸化チタンでコーティング塗装すれば、タバコの臭いを消臭できます。弊社は、消臭の最終手段としてご相談いただくことが多いのですが、それまでの費用がもったいないので、最初から最終手段を導入なさってください。

光触媒とは?

最初に、光触媒とはどういったものなのかをご説明いたします。これを知ることによって、「光触媒を導入したのに、タバコの臭いが消臭できなかった」ということを避けることができます。実のところ、イリス製品以外の光触媒を導入すると、タバコの臭いを消臭できない場合が多いのです。

光触媒による消臭の仕組み

光触媒は、光が当たることでOHラジカルと言われる活性酸素を発生させる性質があります。

なぜOHラジカルが発生するのかと言いますと、光触媒に光が当たると表面に電子や正孔が発生します。それが空気中の酸素や水と反応して、OHラジカルが発生します。

OHラジカルは、強い酸化力を持つ活性酸素です。タバコの臭いの元や臭い成分がOHラジカルと接触すると、酸化分解され、最終的に水や二酸化炭素、窒素酸化物といった、臭いの無い成分、もしくは臭いの弱い成分に分解されていきます。

その仕組みによって、タバコの臭いを消臭することができます。

光触媒によるタバコの消臭メカニズム。OHラジカルがタールや煙を分解

酸化チタンは消臭効果無し

光触媒と言ってもたくさんの種類があります。光触媒コーティング剤として実用化されている光触媒の中でもっとも利用されているものが、酸化チタンです。

酸化チタンも光触媒ですから、光が当たることでOHラジカルを発生させるのですが、紫外線が当たったときのみOHラジカルを発生させます。つまり、紫外線が当たらないと効果がありません。

ホテルの部屋の中の光源には、どういったものがあるでしょうか?

LED照明、蛍光灯、白熱球といったものが利用されています。これらの光源から出る光のほとんどが可視光で、紫外線がほとんど出ていませんから、酸化チタンを部屋中にコーティング塗装しても、タバコの臭いは消臭ができません。

もちろん南側に窓のある部屋であれば、昼間のひと時は、直射日光が入ってきて、酸化チタンが効果を発揮するかもしれません。しかし、時間的に一時的であることや、直射日光が当たる箇所は限られていることもあるため、タバコの臭いを消臭し切れないことでしょう。

酸化チタンは室内などの紫外線でないとほとんど反応しない

最低でも可視光応答型光触媒のご利用を

そこで、「可視光でも消臭力を発揮する光触媒は?」ということになりますが、もちろんございます。そのような光触媒のことを、可視光応答型光触媒といいます。

ホテルの部屋の中で光触媒を利用する場合には、少なくとも可視光応答型光触媒をご利用なさってください。

消臭コーティング剤として実用化されている可視光応答型光触媒の種類は、次のものがあります。

  • 銅ドープ酸化チタン
  • 窒素ドープ酸化チタン
  • 酸化タングステン

銅ドープ酸化チタンとは、酸化チタン光触媒の結晶の表面に酸化銅を結合させた成分です。その「結合させた」という意味で、ドープが用いられています。日本語では、担持(たんじ)といいます。

酸化チタンは紫外線にのみ反応してOHラジカルを発生させますが、銅や窒素を担持させることによって、可視光でも効果を発揮するようになります。

酸化タングステンは、それ単体で可視光応答します。

さて、「可視光応答型光触媒であればどれを利用しても良いのか?」ということですが、もちろん否です。なぜなら、「ホテルならどこも同じか?」と訊ねることと同じように、効果の高さや性質が異なるからです。

例えば、窒素ドープ酸化チタンを使った製品は、「塗布すると塗布面が真っ白になることもあります」という具合に、注意書きが書かれている場合があります。その製品は、真っ白になるくらいに塗らないと効果が無いようです。

もっとも消臭力が高いのは銅ドープ酸化チタン

可視光応答型光触媒の中で、もっともタバコの臭いを消臭できる光触媒は、冒頭でもお伝えしたように銅ドープ酸化チタンです。銅ドープ酸化チタンは、他の光触媒と比較すると圧倒的に消臭効果が高いです。

次の図は、銅ドープ酸化チタンと他の光触媒との効果の高さを比較したものです。消臭効果は、10~20倍以上の差があります。

銅ドープ酸化チタンの効果を100としたときの他の光触媒との効果比較

また、銅ドープ酸化チタンは光が当たっていなくても消臭効果を発揮します。酸化チタンに結合されたナノサイズの酸化銅が、光が当たっていなくても触媒効果を発揮するようです。

もちろん光が当たっているときの方が消臭力が高いのですが、消灯しても消臭ができることは大きな魅力です。

また、銅ドープ酸化チタンであればクリア塗装(透明な塗装)ができます。クリア塗装ができるので、素材の質感や色合いをそのままに、消臭コーティングができます。

銅ドープ酸化チタンをホテルの部屋に施工する方法

銅ドープ酸化チタンの施工は、弊社の光触媒コーティング剤を扱う施工代理店にご依頼いただくことになります。

屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)を利用する

屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)

銅ドープ酸化チタンを使ったタバコの消臭コーティング剤は、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)です。

この製品の原材料には、酸化チタンと銅、水のみを利用した、無機塗料ですから、ホテルの防炎規制の影響を受けません。

壁紙、ソファー、畳、カーペット、フロアマット、ベッドマットレス、カーテンなど、さまざまな材質に塗布できます。液剤を塗布しても、塗装面が変色することはありません。

ただし、ガラスや鏡には塗布ができないことと、黒い色の壁紙やパネルは、塗装の仕方によっては、銅ドープ酸化チタンの白色が若干出てしまう場合があります。塗布面が黒い色の場合は、塗装を工夫すればクリア塗装ができます。

塗装装置

屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)の塗装には、弊社が推奨する塗装装置「ABAC(アバック)温風低圧塗装機」を用います。次の写真は、ABAC温風低圧塗装機SG-91です。

ABAC温風低圧塗装機SG-91とスプレーガン

この装置には、ブロワーユニットとスプレーガンがホースで接続されていて、スプレーガンの塗料カップに屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)を充填して、塗布していきます。

スプレーガンのノズルには、直径0.3mmの小口径ノズルを用います。ABAC温風低圧塗装機は、小口径ノズルでも安定して液剤を塗布することができる装置です。

なお、トイレの便器の後ろ側といった、スプレーガンで塗布しにくい場所は、不織布で拭き掃除をするように塗布します。

施工の流れ

施工の流れは、基本的に次の通りです。

  1. 臭気測定
  2. 家具などの移動
  3. 塗装箇所の清掃
  4. 液剤がかかってはいけない箇所を養生
  5. 直射日光が当たる箇所にプライマー(下地保護剤)を塗装
  6. 乾燥
  7. 屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)を塗装
  8. 乾燥
  9. 養生の取り外しなどの復旧
  10. 施工後の臭気測定
  11. 後日、作業報告書の提出(必要であれば)

プライマー(下地保護剤)を塗装について

プライマーとは、銅ドープ酸化チタンによって下地が劣化することを防ぐための下地保護剤です。特に、窓からの直射日光が当たる箇所に、プライマーをあらかじめ塗布しておきます。

銅ドープ酸化チタンはとても効果の高い光触媒ですから、直射日光という強い光が当たると、その効果が顕著に表れてしまいます。すると、その部分のタバコの臭いを消臭してくれる効果も顕著に表れるのですが、塗布した箇所の劣化も促進させてしまいます。

劣化と言っても、ボロボロになるわけではなく、2~3年ほどしたら「色あせしたような感じがする」とか、「少し変色した」ということになります。そのような軽微な劣化促進ですが、劣化は劣化ですから、それを防止するために、直射日光が当たる箇所にプライマーを塗布しておくわけです。

下地保護剤、屋内用プライマー(AS01)

弊社製品は、屋内用プライマー(AS01)です。

他社の光触媒コーティング剤には、「プライマーは必要ありません」とPRしている製品もあり、施工工程が簡単になりますから、施工費用が安くなります。

一見すると、プライマーを利用しなくても良い製品の方が良さそうに思いますが、そのような製品は消臭力も弱いことを意味します。

費用が安くなったとしても、タバコの臭いが消臭できなければ本末転倒です。冒頭で、「最初から最終手段をお選びください」と言ったのは、そのためです。

銅ドープ酸化チタンを使えば
タバコの臭いを本当に消せるのか?

ホテルの方からすると、「当ホテルの部屋のタバコの臭いは銅ドープ酸化チタンで消臭できるのか?」ということになります。実のところ、やってみなければ判りません。なぜなら、どれだけタバコのヤニなどが部屋にこびりついているかによって、どの程度消臭されるかが左右されるからです。

付着したタバコの臭いの元は少しずつ分解されていく

タバコは煙が出て、その煙が部屋の中を漂って、壁やベッド、床などに付着します。それらの箇所に銅ドープ酸化チタンを塗布しておけば、付着した煙が分解されていきますが、分解される速度には、やはり限界があります。

ですから、銅ドープ酸化チタンを塗布したからと言って、すぐに臭いが消えるわけではありません。

タバコを吸う人がたくさんいたら、それだけ煙が出ますから、それを分解するのに時間がかかる場合があります。

また、壁などにすでにヤニが付着している場合には、ヤニの上から銅ドープ酸化チタンを塗布しますが、ヤニが少しずつ分解されていきます。

銅ドープ酸化チタンは、強い光や紫外線が当たると消臭効果が高まりますから、タバコの臭いが強い部屋の場合は、施工後に紫外線ランプや明るい光源を設置し、昼間はカーテンを開けておいてください。

銅ドープ酸化チタンを塗装したヘビースモーカーの部屋の臭いは?

銅ドープ酸化チタンの効果の高さですが、事例をご紹介したいと思います。

毎日タバコを1箱以上吸われるヘビースモーカーの方のご依頼で、新築戸建て住宅に屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)を施工させていただきました。

その方は、ご自宅を作業場としていたので、同じ部屋でずっとタバコを吸い続けていたようです。

何年か経過して、その方の部屋に入らせていただいたことがありますが、タバコの臭いは注意して嗅いでも微かにするほどしか、臭いがありませんでした。

その方に訪ねたところ、部屋の換気はしていなかったこと、部屋の中で毎日1箱以上吸っていたことを述べておられたので、銅ドープ酸化チタンの効果の高さを実感しました。

タバコの臭いが酷い部屋は内装リフォームを

銅ドープ酸化チタンは消臭効果が高いものの、すでにタバコのヤニが壁に付着している場合には、臭いが完全に消えるまでには何ヶ月かを要する場合もあります。

ヤニが分解されて落ちていくと同時に、ヤニの上に付着した銅ドープ酸化チタンも落ちてしまって、効果が弱まっていく可能性もあります。

ヤニがたくさん付着して、タバコの臭いが強いホテルの部屋の場合は、できればリフォームを行って、新しい状態にしてから銅ドープ酸化チタンをコーティング塗装することをおすすめします。

まずは1部屋のテスト施工を

タバコ臭い部屋を本当に消臭ができるのかは、いきなり全室の施工をすることはバクチ的だとお考えの方は多いと思います。まずは、1部屋の施工をお試しください。

タバコの臭いの感じ方には、個人差があります。そこで、タバコの臭いの消臭施工では、臭気測定器をお持ちして、施工前後の臭気を数値でご確認いただいています。その数値が減っていくことをご確認いただけましたら、消臭ができているとご実感いただけることでしょう。

銅ドープ酸化チタンを塗装しても、すぐに消臭効果をご実感いただけますが、完全に消臭ができるためには、臭いの元が分解されている時間を待つ必要があります。ご要望があれば、出張費はかかりますが1週間後や1ヶ月後に再度伺い、臭気測定をさせていただきます。

ホテルの施工実績

弊社の屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)は、弊社製品を扱う施工代理店の施工事例を含めると、かなりの数になります。その一部をご紹介したいと思います。

佐世保を代表するテーマパークのホテル

この写真は、佐世保を代表するテーマパークのホテルです。このホテルは、海辺の湿気の多いところに建っているため、タバコの臭いではなく、カビの臭いが問題となっていました。

オゾン脱臭などいろいろな消臭を試されたそうですが、ほとんど効果がなかったため、弊社に最終手段としてご相談いただきました。

施工してからすぐに消臭効果を発揮し、カビの臭いが少しずつ消えていきました。施主様は、「施工後3ヶ月ほどで消臭効果が無くなるのではないか」と心配されていたそうですが、その後、一切クレームがありませんでしたから、カビの臭いの消臭ができているものと思います。

【施工事例】ホテルの客室内全体に銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティング剤を塗装している様子

静岡のホテル

静岡にあるホテルを対応させていただいたときは、コロナ禍ということもあって、抗菌が主な目的でしたが、喫煙室の消臭施工も同時にできました。

銅ドープ酸化チタンを使ったので、気休めではなく本物の抗菌施工ができたことで、施主様は喜んでおられました。

銅ドープ酸化チタンはタバコの消臭だけでなく、抗菌力も他の可視光応答型光触媒と比べて10~20倍以上の効果を発揮します。

喫煙ブースの消臭は難しい理由

喫煙ブースの消臭は難しい理由

最後に、喫煙室ではなく喫煙ブースの消臭についてご説明いたします。喫煙ブースは、銅ドープ酸化チタンといえども消臭が難しいことをお伝えしたいと思います。

光触媒は、明るい光があれば消臭力が高まります。

ところが、喫煙ブースはあまり明るくない部屋が多いです。また、銅ドープ酸化チタンの消臭力を上回るほどたくさんの人が密室でタバコを吸っています。さらには、銅ドープ酸化チタンの塗布が難しいガラス面が多いことです。

そのようなことで、銅ドープ酸化チタンといえども喫煙ブースの消臭は難しいです。

喫煙ブースでは、タバコ専用の集塵機の設置と24時間換気を行った方が良いです。

以上、光触媒を使ってホテルのタバコ臭い部屋の臭いを消す方法をご説明いたしました。

銅ドープ酸化チタンであれば、ホテルの薄暗い部屋であったとしてもタバコの臭いの消臭が可能です。すでにタバコ臭い部屋の場合は、施工後に紫外線ランプを設置するか、リフォームを行った後に施工をご依頼なさってください。

銅ドープ酸化チタンを使った消臭コーティング剤は屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)ですが、この液剤は専用の塗装装置を用いて施工します。そのため、施工は弊社もしくは弊社の光触媒製品を扱う施工代理店にご依頼いただきます。

ホテルの部屋のタバコの臭いを消したい方は、ぜひ弊社までご相談ください。

この記事の著者/責任者

島田幸一

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)

私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。

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