光触媒いろは

浴室のカビ対策に有効な防カビコーティングの種類

HOME / 光触媒いろは / 浴室のカビ対策に有効な防カビコーティングの種類
投稿日:
浴室のカビ対策に有効な防カビコーティングの種類

浴室は高温多湿ですから、冬でもカビが発生しやすいことが悩みの種です。

カビが発生する要因は、次の3種類です。

  • 20~30℃の室温
  • 湿度70%以上
  • 皮脂や石鹸カスなどの汚れ

浴室のカビ対策は、これら3つの条件が満たされないように維持することですから、換気と掃除が基本です。

換気はともかく、掃除はなるべくしたくないものです。そこで、防カビコーティングの出番です。

この記事では、燻煙剤と光触媒防カビコーティング剤の効果や施工方法の違い、浴室の防カビに最適な光触媒防カビコーティング剤の種類や施工方法など、浴室のカビ対策に有効な防カビコーティングの種類について解説いたします。

燻煙剤と光触媒防カビコーティング剤

防カビコーティング剤には、一般的には銀イオンの燻煙剤(くんえんざい)か、光触媒防カビコーティング剤が用いられることが多いです。

燻煙剤は、水に漬けると煙が出て、浴室全体に銀イオンを塗布する製品です。光触媒防カビコーティング剤は、スプレー装置で光触媒成分を塗布する製品です。

ドラッグストアでも市販されている燻煙剤は、効果が2ヶ月ほどです。光触媒防カビコーティング剤は、効果が1~3年ほどもちます。

効果の高さで言えば、一般的には燻煙剤の方が防カビ効果が高いようです。防カビ効果の持続期間から言えば、光触媒防カビコーティング剤の方が優秀です。

光触媒防カビコーティング剤の中には、燻煙剤と同等以上に防カビ効果の高いものもありますから、それを利用すると、浴室を長期間防カビできます。

費用と手間の手軽さで選ぶなら、燻煙剤です。燻煙剤は、ドラッグストアで購入でき、自分で防カビができるといった手軽さがあります。それに対して光触媒防カビコーティング剤は、施工業者向けに販売されているプロ仕様のもので、専用の塗装機械を用いるので、素人では均一な仕上げが難しいです。光触媒防カビコーティングは、施工業者に依頼して行ってもらいます。

浴室の防カビができない光触媒
防カビコーティング剤の種類とその理由

光触媒防カビコーティングだと、効果が1~3年と効果の持続期間が長いので、新築マンションで取り入れている人が少なからずいらっしゃいます。

そのときに、どのような種類の光触媒防カビコーティング剤を用いるのかによって、防カビ効果の高さが異なります。製品によっては、まったく防カビ効果が無い場合もあるのでご注意ください。

浴室の防カビに効果の無い光触媒防カビコーティング剤の種類

さて、まったく防カビ効果の無い光触媒防カビコーティングの代表的な種類は、次のものです。

  • 酸化チタン
  • 酸化タングステン

酸化チタンは、金属のチタンが酸化したナノ粒子を利用します。酸化タングステンも同様に、金属のタングステンが酸化したナノ粒子を用います。それをコーティング剤にしたものを浴室に使用される場合があります。

酸化チタンは、浴室の光では防カビ効果を発揮できないことが理由です。酸化タングステンは、効果が弱すぎることが理由です。

少し専門的な話になりますが、これらが効果の無い理由について、詳しくご説明したいと思います。

なぜ酸化チタンはダメなのか?

酸化チタンは、紫外線がたくさん当たることで高い防カビ効果を発揮します。ところが、浴室の照明は、LED電球や蛍光灯が利用されており、それらの光源からは紫外線がほとんど出ておりません。

つまり、浴室に酸化チタンを防カビコーティング塗装しても、紫外線が当たらないため、防カビ効果が無いというわけです。

このことは、浴室だけでなくリビングやトイレでも同様です。業者によっては「酸化チタンをコーティングしておけば、抗菌や消臭ができる」と謳っているところもありますが、実は室内では効果が無いことは、メーカーの常識なのです。それを、「効果がある」とPRしているのであれば、問題です。

なぜ酸化タングステンはダメなのか?

酸化タングステンは、浴室に使われている光源でも反応する性質がありますが、防カビ効果を得るためには、手術室並みの明るい光を当てないといけません。

ところが、浴室の明るさと言えば、手術室の1/5~1/10ほどの明るさですから、効果も1/5~1/10ほどに下がってしまうので、酸化タングステンの防カビ力よりも黒カビの繁殖力の方が勝り、防カビができません。

浴室の防カビができる光触媒防カビコーティング剤の種類

浴室の光でも防カビができる光触媒防カビコーティングの種類は、「銅ドープ酸化チタンを使った光触媒防カビコーティング剤」です。

銅ドープ酸化チタンとは?

酸化チタン結晶にナノサイズの酸化銅を結合

銅ドープ酸化チタンとは、酸化チタンのナノ粒子の表面に、酸化銅を結合させた特殊な光触媒です。

酸化タングステンのように、浴室の光にも反応し、なおかつナノサイズの酸化銅による触媒効果が加わるので、浴室の弱い光でも防カビができます。酸化チタンや酸化タングステンよりも、防カビ力が圧倒的に高い光触媒です。

それらの効果の比較は難しいのですが、浴室での防カビ効果で言えば100倍以上、酸化タングステンの効果と比較したら20倍以上の効果があるのではないかと思います。

銅ドープ酸化チタンに銀イオンを添加

銅ドープ酸化チタンは浴室の弱い光でも防カビが出来るとは言うものの、点灯しない時間帯も長いので、銅ドープ酸化チタンの効果は弱まってしまいます、また、温度や湿気が高く、黒カビが繁殖する条件が整っています。

そのようなことで、環境によっては、銅ドープ酸化チタンであっても、それだけでは防カビができない場合もあります。

そこで、銅ドープ酸化チタンの防カビ力を補うために、銀イオンも添加した光触媒防カビコーティング剤を利用することをおすすめします。

浴室の防カビコーティングを施工業者に依頼する場合は、銅ドープ酸化チタンを使った光触媒防カビコーティング剤に、銀イオンを添加したものを製造しているメーカーの製品を選んでもらうことが大切です。

ちなみにその条件の光触媒防カビコーティングを製造しているメーカーは、今現在のところ弊社のみだと思われます。弊社製品の名前は、浴室用光触媒防カビコーティング剤です。銅イオンや銀イオンが入った光触媒防カビコーティング剤を製造しているメーカーはございますが、銅ドープ酸化チタンを使った防カビコーティング剤を製造しているメーカーは少ないようです。

施工後もお風呂掃除は必要

弊社の浴室用光触媒防カビコーティング剤を使用したとしても、お風呂掃除は必要です。なぜなら、浴室に汚れがたまっていき、その表面にカビが発生することがあります。

光触媒防カビコーティングにカビ菌が触れたら、その部分を除菌してくれるのですが、その上に石鹸カスなどの汚れが付着すると、石鹸カスが光触媒防カビコーティングにカビ菌が触れることを妨害してしまうからです。

光触媒防カビコーティングをしても、お風呂は定期的に掃除なさってください。スポンジや中性洗剤で掃除をすれば、軽く擦っても光触媒防カビコーティングが落ちることは、ほとんどありません。

光触媒による防カビのポイントまとめ

光触媒による防カビコーティングは、燻煙剤を用いる場合よりも効果の持続期間が長いです。

ところが、酸化チタンや酸化タングステンでは効果がありませんでした。銅ドープ酸化チタンでしたら、防カビ効果が期待できますが、常に消灯されている浴室では、環境によって防カビができない場合があります。

そこで、銅ドープ酸化チタンと銀イオンが添加された光触媒防カビコーティング剤を用いることです。そのような光触媒防カビコーティング剤を製造しているメーカーは、この記事を書いている現在は、弊社のみとなります。

また、効果の高い防カビコーティングを行っても、汚れがたまってくると、その汚れの上にカビが発生する場合がありますから、定期的にお風呂掃除を行ってください。

光触媒防カビコーティング施工の流れ

光触媒防カビコーティング施工の流れ

光触媒防カビコーティング施工の流れは次の通りです。

  1. 浴室の清掃
  2. 浴室の乾燥
  3. 鏡やガラスの養生
  4. 光触媒防カビコーティング塗装
  5. 乾燥

施工前に、浴室に置いてあるシャンプーや石鹸といったサニタリー用品を、浴室から出しておいてください。

浴室の清掃は、施工業者によっては清掃に対応していない場合もあります。その場合は、ハウスクリーニング業者に浴室清掃をご依頼ください。ご自身で清掃された場合は、カビ菌をしっかり落とすことができませんから、カビの再発が早まる場合があります。

浴室の清掃を終えたら、サーキュレータを使うなどして、浴室が乾燥するまで待ちます。光触媒防カビコーティング剤の塗装は、水滴が付着しているところには塗装ができないからです。光触媒防カビコーティング剤は水が主成分ですから、浴室に水滴が残っていると、水滴といっしょに流れてしまって定着出来ません。

鏡やガラスの養生とは、浴室の鏡にビニールシートを張り、光触媒防カビコーティング剤がかからないようにするためです。鏡やガラスに光触媒防カビコーティングをすると、鏡に光触媒の模様が出てしまう場合があるからです。

鏡やガラスに光触媒防カビコーティングをすることはありますが、その場合は防カビが目的ではなく、光触媒の親水効果による曇り止めが目的です。

最後に光触媒防カビコーティング剤の塗布です。光触媒防カビコーティング剤には、浴室用を選びます。塗布する方法は、ABAC(アバック)温風低圧塗装機を用いる方法と、不織布にしみ込ませて拭き掃除をするように塗布する方法があります。

ABAC温風低圧塗装機とは、次の写真のような塗装機械です。スプレーガンに0.3mmの小口径ノズルを装着して光触媒防カビコーティング剤を塗布しますが、タイルや浴槽といった広い平面の塗布に利用します。

ABAC温風低圧塗装機SG-91とスプレーガン

洗面器や椅子、排水口の蓋などにも塗装ができます。蛇口やシャワーホースなどの複雑な形状の塗布には、不織布にて塗布します。

以上、浴室のカビ対策について解説いたしました。

手軽に防カビコーティングをしたい場合には、ドラッグストアで購入ができる燻煙剤をご利用ください。1年以上防カビ効果が持続する防カビコーティングをしたい場合には、銅ドープ酸化チタンと銀イオンを使った液剤による光触媒防カビコーティング施工をお選びください。

銅ドープ酸化チタンと銀イオンを使った光触媒防カビコーティングを行いたい方は、弊社もしくは弊社製品を扱う施工代理店にご相談ください。

この記事の著者/責任者

島田幸一

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)

私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。

光触媒いろは一覧


ページトップ