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光触媒による抗菌加工の仕組み

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光触媒による抗菌加工の仕組み

光触媒を使って製品の抗菌加工をしたいとお考えの企業様に向けて、光触媒による抗菌の仕組みや加工の方法などをご説明します。

紫外線が当たる環境で効果の高い光触媒は酸化チタン、可視光下では銅ドープ酸化チタンがおすすめです。

自社製品の抗菌加工をお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。

光触媒による抗菌の仕組み

光触媒とは、光が当たることによって触媒の性質を持つ物質のことです。もっとも利用されている光触媒は酸化チタンです。

次の図をご覧ください。

酸化チタンの抗菌メカニズム。紫外線が当たることでOHラジカルが発生し抗菌ができる。

酸化チタンは紫外線が当たることで、酸化チタンの表面に励起電子が発生する性質があります。励起電子は空気中の酸素や水と反応して、OHラジカルと言われる活性酸素を発生させます。

OHラジカルは強い酸化力を持つ物質ですから、それが菌やウイルスに接触すると、その部分を酸化分解します。すると菌やウイルスが活動できなくなったり、死滅したりします。そのようにして菌やウイルスの数を減らして除菌ができます。

また、光触媒はOHラジカルを発生させても、成分が変質することはありません。光が当たり続けたら、連続的にOHラジカルを発生させ続けることができるので、菌やウイルスの数を減らしたまま維持できる、抗菌力を発揮します。

抗菌効果の高い光触媒の種類

光触媒の種類として酸化チタンをご紹介しましたが、酸化チタンの性質は紫外線が当たったときに抗菌力を発揮するというものでした。

酸化チタン以外にもいろいろな種類があります。種類によって、どのような光が当たればOHラジカルが発生するのか、抗菌力の高さが異なります。抗菌力の高さを求めたとしても、使用環境によって効果の高さが異なるわけです。

使用環境としては、紫外線が当たるのか、それとも紫外線以外の光(可視光)が当たるのかによって、光触媒の種類を使い分ける必要があります。抗菌効果の高さで述べるならば、次の表の通りです。

紫外線が当たる場所酸化チタン
可視光が当たる場所銅ドープ酸化チタン

紫外線が当たる場所は、主に直射日光が当たる場所です。可視光とは、目に見える光のことです。銅ドープ酸化チタンとは、酸化チタン結晶の表面に銅を結合させた特殊な光触媒成分です。

銅ドープ酸化チタンは、可視光のみの場所では、今現在のところもっとも抗菌力の高い光触媒であることが実証されています。

銅ドープ酸化チタンの詳細は、「銅ドープ酸化チタンとは?室内でも高い光触媒効果を発揮」をご覧ください。また、抗菌加工する製品によって、酸化チタンと銅ドープ酸化チタンのどちらを選んだら良いかについては、「【用途別】抗菌加工ができる光触媒抗菌剤の選び方と加工方法」をご参照ください。

光触媒による抗菌加工とは?

光触媒による抗菌加工とは、製品の表面に光触媒を塗布する加工方法のことです。光触媒は、光触媒コーティング剤と言われる光触媒成分が溶け込んだ液剤を利用します。

光触媒コーティング剤には、光触媒成分とバインダー成分(接着成分)が含まれており、バインダー成分によって光触媒成分が塗布面に固定化されます。

バインダー成分にどういった成分を利用するのか、どれくらいの割合で添加するのかによって、抗菌加工の耐久性の高さが決まります。

ちなみに、弊社が開発している光触媒コーティング剤は、10年以上の耐久性を目標として開発しています。

抗菌加工の事例

弊社で抗菌加工した事例には、主に次のようなものがあります。

  • 空気清浄機フィルター
  • 自動車の室内
  • つけまつ毛
  • お風呂の配管のフィルター
  • 人工観葉植物
  • トイレの便器
  • 衣類
  • プラスチック製のおもちゃ
  • テーブル
  • ボクシンググローブ
  • フィットネスマシン

光触媒による抗菌加工の方法

製品の表面に光触媒を塗布して抗菌加工する方法には、次の2種類の方法があります。

  1. ドブ漬け
  2. スプレーによる塗装

ドブ漬けとは、光触媒コーティング剤のプールに製品を漬け込んで取り出し、乾燥させる方法です。スプレーによる塗装は、専用のスプレーガンで光触媒コーティング剤を噴霧して抗菌加工する方法です。

塗装する製品の形状や材質などによって、どちらの方法を利用するか決めます。

例えば、タオル地を抗菌加工したい場合、ドブ漬けをすると液剤を吸い込むので、かなりの量の光触媒コーティング剤を使用することになるので、抗菌力の高い加工にはなりますが、コストが高くなります。

また、自動車の室内を抗菌加工する場合は、自動車をドブ漬けするわけにはいきませんから、スプレーによる塗装を行うことになります。

抗菌加工ご依頼の流れ

光触媒による抗菌加工をご希望の方は、弊社までお問い合わせ、もしくはお電話をいただき、次のことをお教えください。

  • 何に抗菌加工をしたいのか?
  • 材質は何か?
  • 利用環境は?(紫外線が当たる/当たらない、光の強さなど)
  • どの程度の量があるのか?

そこで抗菌加工の可否を述べさせていただく場合もあれば、加工工場と打ち合わせをしてご連絡させていただく場合があります。

その後の抗菌加工までの流れは、おおよそ次の通りです。

  1. 加工方法検討
  2. お見積もり
  3. ご契約
  4. テスト加工
  5. 抗菌試験
  6. 量産

抗菌加工が貴社でも簡単に行えるような場合には、専用のスプレーガンをお求めいただき、弊社から光触媒コーティング剤をご提供させていただく場合もあります。実例として、床材を製造されているメーカー様が、自社にて抗菌加工をされているケースもあります。

光触媒による抗菌加工なら、弊社までお気軽にご相談ください。

この記事の著者/責任者

島田幸一

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)

私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。

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